タイマーIC555で発振回路

PICerFTの制作の時に、VPPを発生させる回路を市販のDC-DCコンバーターで済ませてしまったが、どうも納得がいかないので、昇圧回路について調べてみた。
PICerFTの昇圧回路の部分は、FT232RLから発生したパルス信号とチョッパ昇圧回路で構成されていると思われる(思われると書くのは自分は素人なので断言できるほどの知識を持ち合わせていないから)。従って、この回路を検証しようと思うと、パルス信号を作ってやる必要がある。当然、PICerFTの作者のように、FT232RLでやる方法もあるが、FT232RLのプログラムについても全く分かっていないので、別の方法を使ってみる。連続したパルス信号(つまり発振)は、非安定マルチバイブレータ(無安定マルチバイブレータともいう)という方法を用いると簡単に作ることができる。子供の頃に読んだ電子工作の本にも結構頻繁にこの回路が出てきていたのでよく覚えている。
やり方は、ロジックICを使う方法やトランジスタを2つ組み合わせて使う方法などがある。
www.piclist.com
cc.cqpub.co.jp
もちろん、専用のICが売られているのでそれを使ってもよい。
それ以外には、オペアンプを使う方法、
meyon.gonna.jp
有名なタイマーIC555を使う方法などもある。
また、ちょっと力技的になるが、ArduinoやPICといったマイコンのPWM機能を使うという方法もある。
blog.kts.jp.net
今回は、比較的簡単に発振回路が組めて、チップが手持ちということもあり、555を使った発振回路を試してみた。
手持ちの555はLM555というやつで、調べてみるとC-MOSタイプのようだ。
ネットで調べてみると、いろいろなサイトで回路が載っている。
www.zea.jp
簡単な回路なので、適当にやればできるだろうと思ってやってみるが、うまくいかない。
これは、またICが壊れているのかと思い(最近やたら壊れるので疑心暗鬼)、仕方ないので、NE555というTTLタイプの奴をアマゾンで購入。

10個入って¥498。10個もいらないのだが、1個単位で買えるところは送料が要るので、アマゾンで10個買った方が安いというなんとも妙なことに。まあ、どうせ中国製の偽物だろうが。同じような商品はいっぱい掲載されているが、値段とレビューを見てこれにした。
さて、チップを交換して、動かしてみるとやっぱり発振しない。まあ、中にはダメなのもあるのかと思い、10個もあるので1つくらい動くだろうと思って、別の奴に交換。やっぱりダメ。もう一つ交換、やっぱりダメ。この時点で回路を疑った。
発振周波数を決めるのは、図の回路のRAとRB、そしてC1の値。

始めに見たサイトで、RBはRAの半分以下にしないと発振しないと書いてあったので、RBを1kΩ、RAを5.1kΩにしていた。最初は1kΩの抵抗を10kと間違えたのかと思い、別の抵抗に付け替えたがやっぱりうまくいかない。また、別のサイトではRAもRBも1kΩを使っている回路がいくつかあったので試してみたがこれもダメ。
最後にダメ元と思ってRAとRBを交換したらうまくいった。つまり、RAがRBの半分以下でないとだめということ。上の図はちゃんと発振した構成の回路です。
オシロで測ると、ちゃんと発振している。

発振周波数とデューティー比は下記の式で計算できる。
TH = 0.693 × (Ra + R2) × C  〔秒〕
TL = 0.693 × Rb × C  〔秒〕
周波数f = 1.44 / (( Ra + Rb + Rb ) × C )  〔Hz〕
デューティー比 = ( TH / ( TH + TL )) × 100  〔%〕
計算の結果は12.88 kHz。写真ではちょっと光っていてわかりづらいが実際は約10kHz で発信している。これくらいは部品の誤差というところか。

555タイマーで約10kHzで発振。

ちなみに、RAとRBが同じ1kΩの時にうまくいかなかったのは、やっぱり純正品のICとバッタもんの違いじゃないかと思っている。いずれにしても正しい使い方ではないようだが。
そして、初め動かなかった、LM555で試してみた。するとちゃんと発振する。でも何故か周波数が違っている。約半分の4.8kHzで発振している。
理由はさっぱりわかりません。でも、まあ今回の目的はチョッパー昇圧回路のテストなので、何でもいいからこのくらいの周波数で発振していればいいや、ということで理由は深く追求しないことに。

LM555で発信させたところ。周波数は約半分の4.8kHz

とりあえず、発振回路ができたので、次はチョッパ昇圧回路をテストしてみる。