ロングトレイル用のGPSウォッチを検討する

この前の弘法トレイルでは、約10時間のタイムで完走しました。
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しかし、ゴールしたときには今使っている、GPSウォッチ、GarminのInstinctのバッテリーがほぼゼロの状態になってもう少しでバッテリー切れになるところだった。一応公称はGPSモードで11時間稼働ということになっているが、もう何年も使っているのでバッテリーが少しへたってきているのかもしれない。もっとも、買ってすぐに連続で何時間使えるか試したわけではないので、新しい時に11時間使えたかどうかはわからないのだが。
いずれにしても、50kmとかもっと長いレースに出るためには、もっとバッテリーが持つ機種が欲しいということで、現在物色中です。
Garminからは、Instinctの後継機種として、Instinct2が発売されており、バッテリーの持ちが改善されていてだいたい2倍程度持つようになっている。さらに、太陽電池パネルを装備したDual Powerという機種もあって、それなら日中に充電できて、さらにバッテリーが持つらしい。
じゃあ、これで決まりかというと、どうもそうはいかなくて、もう一つ気になっているのが、GPSがときどき飛んでしまうことで、最近の2レース、モンキートレイルと弘法トレイルでどちらも終盤にGPSの位置情報が飛んでいて、正確な軌跡が記録されていなかった。レース終盤ということで、バッテリーが低下してきたタイミングなのかもしれないが、GPSの精度は高いに越したことがないので、その辺も検討してみた。
すると、Instinctは、最新のInstinct2Xのみが、最もGPS精度の高いマルチバンドGNSS対応で、それ以外は非対応ということが分かった。マルチバンドGNSSというのは、通常使う電波帯以外の電波帯も使って衛星をキャッチし続けるというテクノロジーで、森の中など衛星を見失いやすいところで威力を発揮するらしい。また、マルチGNSSというのもあってちょっとややこしい。
GNSSというのは、Global Nabigation Satelite Systemの略で、要するに衛星を使った位置情報システムのこと。一般的にはGPSという名前が通っているが、GPSアメリカの位置情報システムで、これが最も早く商用に解放されたため一般にGPSという名前が広がっている。GPS以外では、ヨーロッパのGalileo、ロシアのGlonass、中国のBEIDOUなどがある。ちなみに、日本のみちびきは、アジアオセアニア地区限定なので、グローバルシステムではないので、厳密にはGNSSSではない。とは言え、日本で使う分には問題ないので対応しているに越したことはない。最近のGPSウォッチ(一応GPSというように書きます)はたいていが、複数のGNSSに対応していてみちびきにも大抵は対応している。したがって、最新のGPSウォッチの位置精度の比較としては、マルチバンドに対応しているかどうかという点が差別化ポイントになると思われる。
Gaminの機種では、Forerunnerの955、965、255,265などForerunnerの現役のラインナップはほぼマルチバンドGNSS対応になっている。Fenixシリーズも現役機種はマルチバンドGNSS対応。また、Enduroという最もバッテリーが強化されたモデルも、現行のEnduro2はマルチバンドGNSS対応となっていて、この点に関してはInstinctがちょっと遅れた仕様になっている。何故なのかはよくわからないが。発売時期の問題でしょうか?
どうせ新しく買うなら、最新のマルチバンドGNSSに対応している機種の方が良い。そうなるとInstinctでは、最も最新の2Xしか選択肢がないことになる。問題は、大きさと重さで、Instinct2は、通常の2がノーマルサイズ、女性をターゲットにしたやや小ぶりなタイプが2S、そして、最も大きな2Xというラインナップになっていて、2Xは今使っているInstinctよりも一回り大きく、そして10gほど重くなってしまう。その分バッテリーのサイズも大きいのか電池の持ちもよいのだが。今のInstinctでも結構大きいなと思っているので、2Xまで大きくなるとちょっと大きすぎるかなという気もする。実際にお店で見てみたら、やっぱり少し大きい。うーん、困った、すぐに決断が下せない。
そこで、他社も含めて、現在発売されているGPSウォッチを比べてみることにした。比較したのは、Garmin、そしてSUNTO、Polarの3社。それ以外にもいろいろ発売されているが、機能の点で不満があったり、バッテリーの持ちが悪かったりで、この3社の機種を比較してみた。各機種で独断と偏見で良いと思った点、悪いと思った点を書きます。

GARMIN

まずはGarminから。
Garminの中から3機種をチョイス。

Forerunner955

まずは、Forerunner955。
www.garmin.co.jp
更に新機種として有機ELパネルを搭載したForerunner965という機種もあるが、あえてこちらを選択。理由は、Forerunner965はパネルが有機ELで消費電力が、Forerunner955のMIPよりも大きいため、スクリーンセーバーが基本的は働く(Offにすることもできるがその分消費電流が大きくなり稼働時間が短くなる)ため。
良い点
軽い。今回比較した機種の中では比較的軽く53g。
Dual Poweという太陽電池パネル搭載モデルが選べる。少し高くなるがDual Powerにすれば、稼働時間を延ばすことができる。
マルチバンドGNSSに対応。森の中などで信号を確実にキャッチできる確率が高くなる。
地図が表示できる。地図表示に対応しているモデルは、今回比較した7機種中、全部で3機種ある。今まで使っていたInstinctは地図表示に対応していないので、いちいちポケットからスマホを取り出して地図を表示させていたが、ウォッチに地図が表示できれば、そのめんどくささから解放されるのではと期待している。
悪い点
タフネス仕様ではない。元来がランニングを主目的に使われているので、アウトドアでのタフな使用に耐えられるようには作られていない。その点がちょっと心配。
値段がやや高い。比較した機種の中では値段はやや高め。
経過時間の表示で時間の桁の大きさがやたらと小さい。アマゾンのレビューで書いてあって、YouTubeのサイトなどでも確認したが、やはりそれが仕様のようで結構見づらそう。
時間の表示が見にくい

Instinct2X

つづいて、同じくGarminのInstinct2X。自分が今使っているInstinctの後継機種。サイズが3種類あり、Xが一番でかい。その分バッテリーの持ちもよい。何もないのがノーマル。Sが一番小さい。バッテリーの持ちは悪いがその分軽い。またすべてにDual Powerモデルがあり、ソーラーパネル付きを選ぶことができる。
Xはこのシリーズで唯一マルチバンドGNSSに対応している。
良い点
マルチバンドGNSSに対応。Forerunner955と同様にマルチバンドGNSSにも対応しているので高い精度が期待できる。
タフネス。こちらはInstinctシリーズの売りと言ってよいタフネス仕様でアウトドアでの使用でも心配ない。
Dual Powerが選択可能。
悪い点
Xはやや大きくて、重い。
www.garmin.co.jp

Fenix7

つづいて、同じくGarminのFenix7 Sapphire。FenixはGarminGPSウォッチの中で最高峰のシリーズ。Fenixもサイズが3種類展開されている。こちらは、サイズがノーマルのタイプをチョイス。それでもバッテリー持ちは23時間と十分。
www.garmin.co.jp
良い点
タフネス。Fenixシリーズも基本タフネス仕様で安心して使える。
マルチバンドGNSSに対応。
地図表示に対応。
Dual Powerモデルが選べる。比較表に載せた、Sahpireはガラスがゴリラガラスでなくサファイアガラスになっているのに加え、Dual Powerになっている。もちろんその分値段は高い。
悪い点
重い。Fenixシリーズは全体に重たいものが多い。こいつは重さが73gと7機種中上から3番目の重さ。小型のSにすればそれなりに軽いが、今度は電池の持ちが悪くなる。その辺は痛しかゆし。
高い。今回の比較の中で唯一の10万円越え。お財布には優しくない。

SUUNTO

つづいて、フィンランドの雄SUUNTO

Vertical

まずは、Vertical。5月に発売された新商品。
www.suunto.com
良い点
マルチバンドGNSSに対応。こちらも、Garmin各機種と同様にマルチGNSSに加えてマルチバンドGNSSにも対応しており位置精度がよさそう。
タフネス。SUUNTOのアウトドアウォッチも基本タフネス仕様で、アウトドアでも安心。
電池持ちが良い。なんとGNSSの精度を最大にしても60時間持つ。正直こんなに要らないけど。
地図表示に対応。こちらも地図が表示できるのは心強い。
悪い点
高い。新商品だけあってまだ値段落ちてきておらず、その分割高感もある。
重い。重さは比較した機種の中で最も重い86g。これだけ重いとちょっと考える。

9 Peak Pro

続いて同じくSUUNTOの9 Peak Pro。従来からあった9 Peakに新しくラインナップに加わった商品で、仕様がかなりグレードアップされている。9 Peakシリーズで今選ぶならこれが一番良いと思われる。
www.suunto.com
良い点
タフネス。
電池持ちが良い。Verticalほどでないにしてもこちらも、40時間と十分すぎる電池持ち。
悪い点
マルチバンドGNSSには非対応。これはちょっと残念。
やや重い。SUUNTOのウォッチは全般に堅牢に作ってあるせいか重い。こちらもVerticalより軽いが60g越え。

Polar

最後はPolarから2機種。

Ignite3

まずは、Ignite3。Polarは全般にお洒落でスタイリッシュな感じがするが、なかでもIgnite3は今回比較した中で最もスタイリッシュ。
www.polar.com
良い点
軽い。重量はなんと35g。今回の比較機種の中で断トツの軽さ。
マルチバンドGNSSに対応。おそらくPolarのウォッチの中ではこの機種が唯一対応していると思われる。
ディスプレイが有機EL。今回の比較機種の中で唯一の有機EL搭載ディスプレイ。その分消費電力が気になるが。一応公称の稼働時間は30時間と優秀。
安い。機能を絞ってあるせいか価格も他の機種に比べて安め。
悪い点
タフネスでない。目的がアウトドアというよりも、ヘルスケアに寄っている感じがして、そこまでタフに作っていないようだ。
やや機能に劣る。自分的にはそれほどネガティブではないが、他のウォッチに比べるとセンサーが少なかったり、できることが少なかったりと、多機能を求める人には物足りないかも。自分的には、GNSSで位置をちゃんと追跡してくれて、時間を計時してくれれば文句はないのだが。
ディスプレイのスクリーンセーバーが心配。軽くて有機EL搭載ということで、おそらく不要な時にはディスプレイが消える仕様なのではないかと(まだ、確かめてないので何とも言えないが)。

Git X Pro

続いて同じPolarのGit X Pro。こちらは、Ignaite3と違ってアウトドア仕様に仕上がっている。そのぶん大きくて重いが。
www.polar.com

良い点
電池持ちが良い。公称は40時間。
タフネス。InstinctやFenix同様のタフネス仕様でアウトドアでの使用に安心感がある。
悪い点
重い。7機種の中で2番目に重い79g。
GNSSマルチバンド非対応。これもちょっと痛い。
ということで、一覧表にしてみました。


メーカー

garmin

garmin

garmin

SUNTO

SUNTO

Polar

Polar

型番

Forerunner955

Instinct2X

Fenix7 sapphire

Vertical

9 Peak Pro

Ignite3

Git X pro

サイズ

46.5x46.5

50x50

47x47

49x49

43x43

43x43

47x47

重さ

53g

67g

73g

86g

64g

35g

79g

画面サイズ

1.3inch

1.1inch

1.4inch

1.4inch

1.2inch

1.28inch

1.2inch

素数

260x260

176x176

260x260

280x280

240x240

416x416

240x240

稼働時間

20時間

27時間

23時間

60時間

40時間

30時間

40時間

GNSSマルチバンド









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GNSS

GPSGLONASS、Galieo、みちびき

GPSGLONASS、Galieo、みちびき

GPSGLONASS、Galieo、みちびき

GPS, GLONASS, GALILEO, みちびき, BEIDOU

GPS, GLONASS, GALILEO, みちびき, BEIDOU

GPS, GLONASS, GALILEO, みちびき, BEIDOU

GPS, GLONASS, GALILEO, みちびき, BEIDOU

地図表示



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こうやって見てみるとやはりメーカー毎の個性というか成り立ちの違いが出ているように感じる。ガーミンはGPS機器を世界に先駆けて実用化した会社で、日本でも言葉は悪いが安物のポータブルカーナビなんかで知られている。また、山用のハンディGPSGPS搭載のサイクルコンピューターなんかも昔からあって、自分はどちらも持っている。最近はどちらも出番がほとんどないが。そういった意味でGPSには定評があるし、マルチバンドGNSSに対応した機種も多い。
SUUNTOは、オリエンティアなら誰でも知っていると思われるが、コンパス(方位磁石)で有名な会社。山登りをする人なら、山用品店で、SUUNTOやSILVAといった北欧製のコンパスを見かけたこともあるのではないかと思います。
Polarは元々が心拍計が有名な会社で、ウォッチもヘルスケアに寄っているような感じがする。

ガーミンの新機種が発売

さて、この記事を書いている間に、ガーミンのHPが更新されていて、どうやら新機種が出るようです。Fenix7シリーズにFenix7 Proという新機種が登場するようです。また、姉妹機種であるEpix proの方もVer2にアップデートされるようです。Fenix7 Proは、全部がサファイアガラス搭載のDual Power仕様に統一されるようで、これが今後の標準になっていくものと思われます。一方の、Epix Proの方は、レンズの方はサファイアガラスになっているがソーラパネルは搭載されていない。ディスプレイは有機ELで、FenixとEpixの関係はForerunner955とForerunner965の関係のような感じですね。画面のきれいさを取るなら、有機EL搭載のEpixかForerunner965。電池の持ちを取るならFenixかForerunner955というところでしょうか?
で従来のFenix 7とFenx7 proは何が違うのかというと、仕様的に大きな違いは心拍計が新しくなったこと。それ以外は、ヒルスコアと持久力スコアという機能が加わったということのようです。
www.watch.impress.co.jp

結論は

残念ながらまだ決めかねています。
YouTubeの動画なんかも見て色々調べているのですが。その中では、田口さんの動画が結構参考になります。ちょっと昔の動画で、比較機種がFenix6だったり、Forerunner945だったりしますが。

www.youtube.com
田口さんは石舞台100を開催したトレイルフェストの代表の方で、トレイルランナー目線でのレビューなのでとても参考になります。これを見ていると、結論はFenixに落ち着くということなんですが。SUUNTOGPSの精度がというのも動画の中で言っておられますが、Verticalならそんなにそん色ないんじゃないかと思っています。SUUNTOも当然ライバル会社の製品は買って調べて、自分たちの開発の参考にしているでしょうし、Verticalは同時に受信する衛星の数を増やしたり、マルチバンドGNSSに対応にしたりとかなり改善しています。ただ、やっぱり重いのは変わってないですが。
動画の中で田口さんも言っておられますが、トレイルランで使うならタフネスは欲しいような気もします。ただ、タフネスを取ると重くなってしまうのが難点。重くなるのはわかるのですが、重すぎるのは嫌だし。ということで、その辺がまだ割り切れてません。
また、田口さんの動画でも力説されていましたが、せっかく買うなら地図が見れるのは良い、そうするとガーミンのForerunner955、Fenix7、SUNTOのVerticalから選ぶということになるのですが、まず、Verticalの欠点は何といっても重いこと。自分的にはちょっと重すぎるような気がします。軽さを取るならForerunner955ということになるのでしょうが、耐久性がちょっと心配。そうするとFenixということに落ち着くんでしょうが、今度はお値段が最も高いということで、決めかねています。
あと、SUNTOはアプリのというかPCサイトの使い勝手が今一という気がしています。SUNTOもGarminもウェイポイントとかPOIといった、エイドなどのポイントを地図に入れておいて、画面上で後何kmとか表示してくれるんですが、SUNTOの場合はポイントの指定がスマホのアプリでしかできそうにないらしいので、ちょっと使い勝手がという風に思っています。その点ガーミンはガーミンコネクトでもできるのでPC上で操作できるので使いやすそう。また、カシミール3Dを使ってPOIを入れることもできるようです。また、ガーミンの方は地図もオープンストリートマップを入れることもできるようで選択肢が多いというのも魅力に感じています。もっとも、ガーミンはソフトのバグが多く、新機種を買うとバグに泣かされることも覚悟しないといけないようですが。
いずれにしても遅くとも秋ごろまでには新しいのを買おうと思っています。Fenix7Proが発売されて、従来機のFenix7が安く買えるようになったらそっちにするかもしれません。購入したらレポートを書きたいと思っています。