大峯奥駈道分割縦走 その3

大峯奥駈道を北から少しずつ縦走しています。今回が第3回。
1回目は吉野から山上ヶ岳まで。
alasixosaka.hatenablog.com
2019年の11月3日
2回目は山上ヶ岳から奥駈道出合まで
alasixosaka.hatenablog.com
2020年の11月2日
そして、今回は2021年の11月1日
ということで、毎年同じ時期に行っていることになる。
別に1年に1回と決めているわけでなく、もっと頻繁に行きたいと思っているのだが、この2年春はコロナで緊急事態宣言が出るといった状態で出かけるのが難しい状況だったので結局こうなってしまった。
今回は、一の垰から太古の辻までです。これでようやく北奥駈道が終了。ようやく半分です。

準備

夏に六甲縦走にチャレンジして半分でリタイアした反省をもとに、今回は実家から室生寺を30㎞歩いたり、自宅の近辺で30㎞走をして体力をつけて臨んだ。不安があるとすると登りのトレーニングがやや不足しているところ。今回のルートは、いままでで最難関のルートで、途中でエスケープできるところがないので、引き返すか最後まで行ってしまうかの2択。そのため途中でへばるようなことだけは避けないといけない。
ルートについては、何度も検討して、結局、車を前鬼の小中坊の下か、もう少し降りたところに置いておいて、そこから自転車で道を下り、前鬼口からゆうゆうバスに乗って天ケ瀬まで行き、そこから国道309号線まで行って、登山道に入って一の垰から奥駈道へ出ることにした。あとは奥駈道を行って、太古の辻から前鬼に降りる。このルートだと、ゆうゆうバスを使えるので移動の距離を稼げるが、ゆうゆうバスは1日1本、かつ朝に北上するのは平日のみということなので、平日限定のルートになっている。幸い、10/30(土)に仕事が入ったので、代休をいただいて11/1に決行した。天気予報が週間予報でずっと雨だったので、どうしようか直前まで迷ったが、予報が曇りになったことと、結局この機会を逃すと、積雪の心配があり来年まで延期の可能性が高いので決行することにした。

装備

ザックは今回も、RaidlightのResponsiv24。Raidlightのザックは前の部分のポケットが少ないので、今回は自作のサコッシュを持って行って、地図や行動食をそちらに入れておいた。
給水用も前回同様サロモンのハイドレーションパック1.5L。水分としては、これ以外にお茶のペットボトル500mlを持参。前2回は2Lでなんとか行けたので今回も行けるだろうと思っていたが、今回は思いのほか水分消費が多く、途中で給水が必要だった。
服装は上はアンダーがバーグハウスのメリノウールロングシャツ、ミッドレイヤーとしてファイントラックのフロウラップ、オーバーにモンベルのトレイルランナー。雨具の上がコロンビアのレインウェア。
下は、ズボンはモンベルのトレイルランナーとIZASのトレッキングパンツとどっちにしようか迷って結局、少し厚めのIZASのトレッキングパンツにした。平均標高が前回より高いので暖かめのズボンにしたが、しかし、結果的に薄い方のトレイルランナーで十分だった。それから雨具としてウィンドブレーカーのパンツ。Trekkinで安く買ったやつ。
防寒具としてマイクロフリースを持っていきました。
ソックスがSYNのトレラン用ソックス(足袋たいぷのやつ)。シューズはHoka OneOneのSpeedGoat4。それに、Sotoasoで買ったトレラン用の帽子。
食料は朝としてコンビニで買った総菜パン1つと菓子パン1つ。昼食としてコンビニのおにぎり2つ。行動食としてコンビニのミニアンパン(5個入り)、チョコえいようかん(抹茶)、福豆、キットカット(ナッツ)、ブラックサンダー(ミニ2つ)、山よりだんご、トレイルバター、プロテインバー、エナジージェル(2つ)。非常食として尾西のおにぎりタイプのアルファ米(2つ)。
水分は塩梅茶を1.5Lの水に溶かしてハイドレーションに。それ以外にペットのお茶500ml。

レンタカーで実家経由前鬼口へ。

今回はレンタカーを借りていった。家内が仕事で車を使うので最近は車の占有権が全くない。仕方ないのでレンタカーを借りることにした。トヨタのチョクノリという24時間使えるサービスを使ってみた。チョクノリのいいところは営業時間を気にせず使えるというところ。帰るのが遅くなるのがわかっているので、営業時間が遅いレンタカー屋かチョクノリにするか、翌日返すというどれかにする必要がある。翌日は仕事があるので翌日返すとなると営業時間が早いところに絞られるので、チョクノリは便利だ。実は一旦はもっと家から近くて安い、別のレンタカー屋の予約をしていたのだが、天気予報を見て決行に踏み切れずキャンセル料がかからないうちに一旦キャンセルしていた。土曜日に予報が良くなったのでようやく行く決心がついてチョクノリを予約した。高槻は2カ所あるがいずれも空車なしになっていたが幸い茨木に空車があったのでそちらを使った。地図で見るとちょっとわかりにくそうなところだったが、茨木工場に勤務していた時に自転車通勤していた時期があってそのときによく通った、ライフストアのすぐ近くだったので行ってみたらすぐに分かった。さすがに歩いてはいけないのと、どっちにしても自転車を使うので、折りたたみ自転車にのって、トレランに必要な装備+実家で必要な着替えその他を大きめのザックに詰めて自転車で行った。
借りたのはヤリス。普段シエンタに乗っているので運転自体はあまり違和感はなく運転できた。しかし、ナビは今一だった。トヨタの純正ナビが搭載されているが案内がもう一つ。例えば高速で「あと3㎞先、xx方面です」といった音声案内が入る。これだけではどっちに進むのか、どこを通るのかよくわからない。普段使ってるナビソフトのカーナビタイムだと同じところで「xx㎞先、xxジャンクション、直進方向、xx方面です。右側2車線をお進みください」といった感じでとっても親切な案内が入る。これになれていると何とも物足りない。そして、画面に次に曲がるところまでの距離と方向が表示されないのが一番困った。設定で変更できるのかも知れないが、走り慣れた高速や一般道ならともかく、走ったことない道だと2車線以上ある場合に右に曲がるか左に曲がるか直前に言われても対処できないことがある。今回は幸い2車線以上あるのは慣れた道だけだったので良かったが走り慣れていない道だと相当困ったかもしれない。そして、最も最悪だったのは前鬼の小中坊下の駐車場を地図から目的地に設定したのに、何も言わずに勝手に目的地がもっと手前の国道169号のどこかに設定されていて途中で案内が終了してしまったことだ。お陰であと何分で着くかがわからんようになってとっても不安になった。
あとは、ユニークなところとして、スマホを鍵に使うところ。スマホにアプリを入れておいて、アプリからロック、アンロックを行う。電波の入らないところでも使えるが、アプリが制限モードに入るのにしばらく待たないといけない。ちょうど帰りに車を置いたところが圏外で、アプリにくるくる円が表示されて待たされた時はちょっと不安だった。
今回は実家に届けるものがあったので日曜日に実家に帰ってそこで一晩寝てから現地に向かった。実家のある宇陀市は東吉野の玄関口になっているので、距離がだいぶ短くなって朝が遅くて助かる。それでも4時に起床だったが。起きて、ストレッチとテーピングをして4時40分に出発。あたりは霧が立ち込めていてこれから行く山行の行く末を暗示しているようだ。霧で視界が効かず、まだ暗いので走り慣れた道ではあるがスピードが出せない。ナビ上では目的地まで2時間20分と出ていて、事前に確認したグーグルマップでも2時間20分だったので疑問を持っていなかったが、上に書いたようにナビの目的地は間違っていたので到着予定時刻はもっと遅くなっているべきだった。これを当てにしていたので少しゆっくり走りすぎて、前鬼口への到着が遅れた。ゆうゆうバスの時間は7時31分。小仲坊下から前鬼口までは10㎞あるので、自転車で時速20㎞で走っても30分はかかる計算になる。そうすると、遅くとも7時には自転車に乗っていないといけない。前鬼口からの細い道に入ったのは6時20分頃だったろうか。道は細く、荒れていて下りとはいえ自転車で時速20㎞出すのは危険そうな道だった。帰りのことを考えると小仲坊の下まで行っておいた方が楽なのだが、ゆうゆうバスに乗り遅れたら元も子もないので、次善の策として考えておいた7重の滝の駐車場に車を止めることにする。滝の景色はなかなか圧巻だった。

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車を止めたところから見た七重の滝

朝食のパンをほおばり、折りたたみ自転車を組み立てる。時刻は6時50分。予定より下に止めたので30分かかることはないはずだが、とりあえず出発。車から見た通り、石がごろごろしている上に道が荒れていて走りにくい。幸い登ってくる車はなく、20分ほどで無事に前鬼口に到着。

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鬼口のバス停付近

バスが来るまであと20分ほどあるので、のこり1つのパンを食べて待つ。トイレもあったのでここで済ませておく。トイレはバスを降りた天ケ瀬にも立派なのがあるがバスを降りてからの出発は早いほどいい。

ゆうゆうバスそして登山口へ

7時33分頃ちょっと遅れてゆうゆうバスが到着。今日は月曜日なので病院に行くお年寄りとかが乗っているのかと思いきや、誰もいなかった。母親の話だと、母親が肩の手術で入院していた宇陀市の病院に、下北山村から来ている人もいたとのこと。田舎に住むのは環境としては素晴らしいが、病院がないのは大変だと思う。あとから2人お客さんが乗ってきて、結局3人に。それにしてもダム沿いをうねうねと走って天ケ瀬までは遠かった。休日にバスがないので、自転車で天ケ瀬まで行こうかと考えたときもあったがバスにして正解だった。これは自転車で行くのは大変だ。ロードバイクでも一苦労するし、だいいちロードバイクだと靴がそれ専用になるので靴をどうするのかまた考えないといけないし。
約30分で天ケ瀬に到着。ここから国道309号線を行者還トンネル方面に登っていく。

登山口までは約3.5㎞。ここナメゴ谷は紅葉の名所らしいが平日のためか観光客らしき人は見かけなかった。車も数台程度が抜いていったくらい。まだ朝が早いせいかもしれないが。
しばらく行くと稜線が見えてきた。あそこまで登るのか。結構高いな。

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ナメゴ谷から見た奥駈道の稜線

40分ほど走って登山口に到着。山と高原地図には点線の道として記載があるが、登山口に標識らしきものは見当たらない。

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登山口の様子。向こう側は古い橋。沢の右側に道がある。

とりあえず、沢の右手に道があるのでそこを行くことにする。

登山口~一の垰

しばらく行くと道標を発見。

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登山口からちょっと行ったところにあった道標。なぜ、登山口にないかは謎。

しかし、道はすぐに荒れた道になり、はっきりしなくなる。

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しばらく行くとこんな感じ。マーキングもない。

マーキングもなく、地図とGPSを頼りに進む。とりあえずトンネルにつながる林道に出れば何とかなるだろうと思って進む。しばらく行くと沢が2手に分岐するところに出た。地図によるとその真ん中の尾根が登山道らしい。しかし、この辺は本当にらしいとしか言いようがない。道らしきものは全くない。仕方ないので尾根を登る。傾斜がめちゃめちゃ急で登山という感じではない。オリエンテーリングではしばしばこんな感じのところを進むが。頑張って登ると林道に出た。しかし、そこで唖然。

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林道に出たところ、地図では崖の上に登山道があることになっているが。

目の前に土の崖があり、尾根が思いっきり削られている。しかし地図では登山道は尾根の上なのでなんとか尾根に上がらねばならない。本当は冷静によく地図を見れば、この林道はトンネルの東口につながっているのでそこからも登り口があるので最悪そこまで行けば何とかなるのだが、そこまで考える余裕がなくなんとか尾根に上がらねばと登り口を探した。はじめ右手に少し行ったところから上がろうとしたが足元がずるずるすべってとても登れそうにないので断念し、左手の少し足場のしっかりしたところから何とか登った。登ってからみると、もっと左手の方に行く踏み跡があった。そっちから登った方がもう少し上り易かったかもしれない。
しばらく行くと、地図にも道標ありと書かれている地点にでて、たしかに道標があった。

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道標発見。ここからはようやく登山道らしくなった。

右手からトンネル東口からの登山道がやってきて合流する地点だ。ここからは、ようやく登山道らしくなり、道もはっきりしてマーキングもちゃんとついていた。

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ようやく登山道らしくなった。

しかし、まだまだ登る。とにかく奥駈道は高いところの稜線を走っているので、そこにとりつくのが毎度毎度大変である。そこまでで疲れてしまう。急な傾斜を登り切りなんとか一の垰に到着。約一年ぶり。あの時は雨が降っていて暗い感じのところだったが、今日はお天気も良く斜面を登り切ったという達成感で明るく感じた。

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一の垰から振り返ったところ
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一の垰。前回来た時と雰囲気が違って感じた。

一の垰に着いたのは10時5分頃。予定より10分遅れ。ここの点線の道の難路はヤマプラでコースタイムが出ないので、距離と傾斜から45分と設定したが、見込みが甘かった。
今日はコースタイムの60%を基準にタイム設定した。それでも小仲坊におりるのは16時半頃で結構暗くなっているはずなので、コースタイムの60%を大きく下回るわけにはいかない。いままでの2回はトータルではコースタイムの60%は切っていたので今回も行けると思ったが・・・。
しかし、ここまで登って来た道を登山道というのはどうかと思う。ブログで通った人を見つけたのでまあ、何とかなるだろうと思ってきてみたが、地図の読めないひとや、急斜面を登ったことがない初心者には全く無理なところだった。まあ、初心者はこんなところ来ないとは思うが。中級者でもどうかなと思う。たぶん、行者還トンネルの西口にでっかい駐車場ができて、みんなそこから登るので登る人もなく道も荒れ果ててしまったのだろう。おまけに林道工事で道が分断されているし。東側から登るにしても素直に行者還トンネルまで行って登るか、あとで書くが、もっとよさそうな道があったのでそこから登ることをお勧めする

一の垰~弥山

ここからが奥駈道の本番である。しばらくは前回通ったところをなぞって走る形になる。しばらく行くと、上北山中バス停という道標があった。上北山中は今日ゆうゆうバスで途中に通ったところだ。そこからも登ってこれるのか? 後で地図を見ると、上北山中の前から林道があって、そこを登って、尾根に出て、三本栂というところを通ってここまで来れるらしい。こちらも点線の道だが、ヤマレコに記事を載せている人がいてこっちのほうがまっとうな道らしい。アプローチは少し長くなるが こっちから登ればよかった。バスに乗る時間も短くなるし。
一の垰からしばらくはほぼ平坦な稜線を行く。前回来たときは笹原の笹の葉についた水滴が靴にどんどん入ってきて気持ち悪かったが、今日は気持ちよく走れる。
しばらく行くと奥駈道出合に着いた。ここまでは前回来たところ。男性2人が休憩されていた。平日だがお天気も良いし、人気のコースなのでそこそこ人に会う。
その先は弁天の森。少し登る。しかし、まだまだ序の口。

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弁天の森

そして、聖宝の宿跡へ到着。10時48分。予定よりも7分早く着いた。この区間はコースタイム40%。非常に順調。ずっとこの調子で行ければ良いが、そうは問屋が卸さない。

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聖宝の宿跡。理源大師像。

ここから本格的な登り。
しばらく登って振り返ると、はるかに稜線が続いている。

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弥山山腹から見た稜線
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もう少し上ってから見たところ

まだまだ登る。あまりペースを速めると、六甲縦走の二の舞になるので少し抑え気味に登る。そして、登って登ってようやく弥山小屋が見えてきた。

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弥山小屋。奥駈道唯一の営業小屋。本日は閉まっていました。

弥山小屋に到着。11時20分。予定時間マイナス5分。なので、コースタイムの60%よりも2分遅れた。ゆっくり登ったせいだろう。
小屋は閉まっていた。ここは奥駈道で唯一の営業小屋だが、最近はコロナのせいだろうと思われるが予約がないと営業しないんだそうだ。去年も帰りに車に乗せてもらった女性2人が弥山小屋は閉まっていたと言っておられた。その時は時期が終わったのでしまったのかと思っていたが、上北山村のHPを見ると、弥山小屋の営業は11月中旬までだが、予約がないと営業しないと書いてあった。去年もそうだったのだろう。
ここで昼食の予定だが、先に弥山の山頂まで登ることにした。

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弥山山頂への道。
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弥山山頂からの眺望

山頂には神社がある。山岳信仰の山らしいところだ。せっかくなのでここまでの無事とこれから下山の無事をお参りする。
再び小屋の前に戻って、昼食をとる。テーブルと椅子がうれしい。今日のお昼はコンビニで買ったおにぎり2つ。南高梅とこんぶ。本当は海苔がない方が良いのだが。普段は海苔付きのおにぎりの方が好きだが、こういう時は海苔が消化に悪いので普段は握っただけでラップにくるんで持ってきている。今回は実家からだったので、おにぎりを頼むこともできたが、まあいいかと思ってコンビニで買ってきた。しかし、予想通り、しばらくして海苔(の香)がげっぷで戻ってきて、やっぱり海苔なしが良かったなあと思った。
時間があれば、お湯でも沸かしてラーメンかなにか食べればもっとほっこりできて良いのだが、なんせ今日はコースタイムとの闘いなので、昼食も早々に先に進む。休憩時間は5分くらい。

八経ヶ岳を経て楊枝ヶ宿

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弥山小屋から八経ヶ岳へ向かう。

一旦降りてまた登る。アップダウンは大したことないので、わりとあっさりと八経ヶ岳山頂に到着。

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八経ヶ岳山頂。日本百名山で近畿最高峰。

弥山までがとっても登りだったので、あまり感激というのを感じなかった。しかし、ここは近畿最高峰の1915m。日本百名山の一つだ。考えてみれば百名山に登ったのは本当に久しぶり。2000年に関西に戻ってきてから本格的な登山をしてないので、いつ百名山に登ったか思い出せない。茨城県に住んでいた時は職場で登山とかあったし、一緒に山に登る仲間もいたので、結構登っていたが、最後は御嶽山蔵王八ヶ岳かその辺だろうか?

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八経ヶ岳から先の稜線を望む。立ち枯れたシラビソの森が続く。
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振り返って山上ヶ岳方面を見る。

八経ヶ岳到着は11時50分。弥山小屋で休憩したので貯金を使い果たして、設定タイムに追いつかれた。登りはあまり無理をしていないせいもある。とにかく今日はここからも結構距離がある。まだ全体の半分も行ってない。これまで2回は、ピークに登ったらあとは降りるだけみたいな感じだったので登った後は気が楽だったが、今日は気が抜けない。ペースを上げていきたいところだったが、そうはいかなかった。
明星ヶ岳までは登山客が多く登山道も広めで通りやすかったが、そこから先が大変だった。

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明星ヶ岳下の道標。ここから登山道は悪路になっていく。

まず、石がごろごろのところが多い。浮石も多く、特に下りは慎重に下りないと足を取られる。そして、笹原の中のトラップ。一の垰のあたりも一面の笹原だったが、そこは笹原の下の道は奇麗で問題なく走れたが、この先は笹原の下に木の枝や石が隠れていて、何度もけっつまづいた。そして、道が細い。人一人がやっと通れるくらいの幅しかなく、足の置き場が見えないと本当に進みにくい。この笹原は本当にストレスがたまった。鎖場やロープは思ったほどなかったが、崩落個所も何カ所かあり慎重に進む必要もあって、ここまで体力を温存しておいたのにスピードが上がらず時間が思ったよりもかかってしまった。

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こんな崩落個所がいくつもあった。

稜線伝いはピークからピークの細かいアップダウンがあるものだが、ここの区間はピークは巻いていくところが多くアップダウンに疲れることはあまりなかったが、その代わり右側の下がった巻き道ばかりで右足で踏ん張るのに疲れる。道が広くて整備されていればそれほどでもないのだろうが、上にも書いたように石がゴロゴロで踏ん張る必要があるところも多く、笹原にけっつまづいては右にこけるという始末。何故か右下がりの斜面ばかりで疲れた。

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舟の垰に到着。船のように地面がえぐれている。

舟の垰で少し開けたところに出て一息。この辺りから写真が極端に減っていますが疲れて取る気力が失せている証拠。

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楊枝ヶ宿手前の稜線から天川方面を見る

ようやく楊枝ヶ宿の小屋に到着。13時16分。なんとかコースタイムの60%以下で走破。小屋の中で少し休憩、5分ほど。ここは水場が近く4分で行ける貴重なところ。ハイドレーションの残りが少なくなっていたので、補充するか悩んだが、水場はまだ先にもあったはずだし、ペットのお茶もまだたっぷり残っているので、先を急ぐことにして補給はしなかった。しかし、この判断はちょっと甘く危ういところだった。

楊枝ヶ宿~太古の辻

楊枝ヶ宿で八経ヶ岳から太古の辻までの約半分。まだまだ先は長い。仏生ヶ岳、孔雀岳、橡の鼻、そして釈迦ヶ岳と小さなピークが続く。
仏生ヶ岳を過ぎると、ハイドレーションの塩梅茶がなくなった。楊枝ヶ宿で確認したときに、まだ残っていると思ったが意外に残っていなかった。ハイドレーションはソフトなのでぺったんこになって残りがそんなになくても500mlくらい残っているように見えたのだろう。わずかな時間を惜しんで水を汲んでこなかったことを後悔したが今更くやんでも仕方ない。しばらく行くと鳥の水に着いた。幸いなことに昨日は雨が降っていたと思われ、ちょろちょろだが水が出ていた。先月登った人の活動記録だと枯れていると書いてあったので期待してなかったがラッキーだった。ここでペットのお茶をハイドレーションに詰め替えて、水をペットボトルに汲ませてもらう。

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鳥の水。今日は枯れてなくてラッキーだった。
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孔雀岳手前の眺望

孔雀岳を巻いて先に出ると、孔雀の覗というところに出た。

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孔雀の覗
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孔雀の覗から上北山村方面を見る

そして、しばらく行くと、やたらとんがった峰が見えてきた。あれが釈迦が岳だろうか、あれ登るのか。

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そそり立つ釈迦が岳。あれを登るのか。

近づいていくと鎖、ローブが頻繁に現れ、いかにも修験の道らしい感じになってきた。最後の大きな登り、とにかく頑張って登る。登りの前にブラックサンダーを食べたらめちゃくちゃうまかった。これは危険な兆候だ。甘いものを美味しく感じるのは、血糖値が下がり始めているようだ。登り切ったらアンパンを食べることにして、とりあえずジェルを一つ補給して登る。
登り切ったら本当にお釈迦様がいた。誰がここまで担いできたのだろう。人間業とは思えない。

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釈迦が岳。

釈迦が岳着は15時1分。また、想定タイムから遅れ始めた。4分の遅れ。しかし、とりあえず休憩をとってアンパンを食べる。もう3時を過ぎたので日が暮れ始めた。しかし休憩も重要だ。遅れを最低限に抑えれば日が暮れる前に小仲坊に着けるだろうと思ってあまり焦らないように考えた。とにかく無事に帰りつくのが最重要だ。しかし、悪路は相変わらずでスピードは落ちたままだ。
ここからは大きな登りはなさそうなのでぶっ飛ばさなくても何とかなるだろう。
しばらく行くと、崖に穴の開いたところがあった。ここも修行するところらしい。看板があったが写真を撮り忘れたので名前がわからない。地図にも載っていないし。

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崖に穴が。

そして、深仙の宿に到着。

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深仙の宿の小屋。あまり泊りたくない感じ。

そして、ここにはこんな警告文が。

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持経の宿から下山できないという警告文

どうやらこの先の持経の宿から池原方面に降りる林道が通れなくなっているらしい。今日は太古の辻で降りるので関係ないが。
そして、大日岳の下に到着。大日岳山頂にも仏さんがあるようだが、拝みに行く勇気も時間も体力もない。おとなしく巻き道を行く。ここまで来れば太古の辻はもうすぐだ。

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大日岳への分岐。一般人はなるべく登らないようにという忠告がある。

そして、ようやく太古の辻に到着。ここで北奥駈は終了。3回かかってようやく半分走破。

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太子の辻。北奥駈の終点。ここから先は南奥駈。

やったぜ、今日は帰れる。と思ったが甘かったというか油断したのが運の付きだった。

太古の辻から小仲坊、道に迷う

太子の辻着は15時47分。楊枝ヶ宿から先はコースタイムの65%になった。どうやらこのくらいを標準に考えた方が無難なようだ。
太子の辻から山を下りる。小仲坊まで1時間45分と表示されている。自分の設定タイムでも約1時間で結構長い。日も暮れかかって帰心矢の如しだが、後は降りるだけと思ったのがいけなかった。あとでよく地図を見ると始めは沢筋を降りているが途中で巻き道に入って別の沢に乗り換えるところがある。ところが、そのまま沢を下りて行ってしまって気づいたときには結構降りてしまっていた。帰ってから別の人のブログを見たが、その人も降りるときに迷ったらしく、結構迷う人がいるようだ。そのため踏み跡もできていて余計に迷いやすい。おまけに、案内板もないし、マーキングもまばらでわかりにくいので余計に分からないで真っすぐ降りて行ってしまった。自分の不注意を呪ったがどうしようもない。もうあたりが暗くなってきていて最悪ヘッドライトでの下山を覚悟しないといけない状況に追い込まれた。地図とGPSをにらめっこして、目の前の尾根を巻いていけば何とか登山道に復帰できそうだと思って巻こうとするが斜面が急で下におろされてしまう。おまけに沢を越えるところが急斜面の岩場で越えて行けそうにないのでそこでも下側を通ることになってますます高度が下がった。なんとか登れそうな尾根を見つけてその尾根を登って登山道に復帰した。オリエンティアだからこんなことができるのであって、良い子はぜったにまねをしてはいけない。迷ったら素直に元に戻るのが鉄則です。
そこからまだまだ下りは続いたが、木段とかが整備されていて比較的下り易かったのが幸い。

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小仲坊に到着。生きて帰れて良かった。

小仲坊到着は16時46分。想定よりも13分遅れ。道に迷った割にはコースタイムの65%でカバーできた。やはり道が整備されていると進むのは早くなる。

小仲坊から七重の滝、そして帰路

小仲坊も人気がない。平日なので利用する人もいないのだろう。大峯山も閉まっている時期だし。
ここからは舗装路を下るのみ。だいたい3㎞ほど。スタミナはまだ残っているので下りなら走る元気はある。小仲坊の下のところで工事をしていた。こんなところで工事をしているのかと思ったが、走っていると工事をしていた人のトラックが止まって乗っていきませんかとありがたい申し出。今年も最後はありがたく車に乗せてもらった。暗くなってきたところなので余計にありがたかった。完全に日が暮れる前に何とか車を止めた滝の前に到着。着替えているうちに真っ暗になった。ここからが怖かった。暗い林道がこんなに怖いとは初めて知った。なにせ、明かりも何もないので頼りは車のヘッドライトのみ。しかし、大きなカーブが続くのでカーブの先が全く見えない。カーブのたびにスピードを落として慎重に曲がらないとどこが道でどこが道でないのかわからん。ようやく国道まで降りて来た時は正直ほっとした。
鬼口で自転車を回収。トイレに行ってから帰路に就いた。レンタカーの駐車場に着いたのは20時10分頃。とりあえず無事に終えられてよかった。
距離は全部で30㎞となっているが、最後は車に乗せてもらってワープしているので27㎞ちょっとというところか?
総所要時間は8時間45分くらい。9時間くらいと見積もっていたので概ね予想通りというところ。もう少し日の長い時期だと問題ない時間に帰ってこれたが秋は日の暮れが早いので結構ぎりぎりだった。
今回の反省はまた、後日書くことにして、今日はこのくらいにしておく。