11/3、3連休の真ん中の日に大峯山に行ってきました。想像以上にきつかった。今までの登山の中でも最高にしんどい登山になりました。でも、達成感はありました。
大峯山奥駈道について
奈良の吉野から和歌山の熊野本宮まで続く大峯山奥駈道。その距離約100km 、ノンストップで駆け抜ける猛者もいるそうですが、自分にはとても無理なので、何度かに分けて走破してみようと思います。構想については以前に書きました。
今回は第1回目として吉野から山上ヶ岳の手前、洞辻茶屋まで、予定より早く進んで場合、あわよくば山上ヶ岳までを目指してみようと思います。逆に予定より遅かったら五番関でエスケープ。いずれも場合もゴールは洞川温泉です。
洞川温泉発の最終バスは17:58分なので、それまでに下山する必要があるので途中の時間を見てどこまで行くか決めようと思います。
準備
ザックはサロモンのADV SKIN 12。用意したのはだいたい下の写真のものたち。
ウェアは、インナーがバーグハウスのメリノウールロングシャツ。ミッドレイヤーはファイントラックのフロウラップ。アウターは予備としてIZASのウインブレ。そしてもう1枚、着替え兼予備として、モンベルのウィックロンZEOロングスリーブジップシャツ。パンツはモンベルのクロスランナーパンツと防寒用にTrekkinn で購入したRegatta のウインブレ。靴下はTABIOのトレイル5本指。靴はOnRunning のクラウドベンチャー(写ってませんが)。帽子と手袋(サイクル用を流用)。ウェアは標高を考えてちょっと厚めにしておいた。
食料は昼食として自家製のおにぎりを用意する予定。その他は行動食として、一口羊羮大が2つ、小が2つ。一本満足バー2つ、ブラックサンダー4つ。ジェル2つとBCAA入り自家製のジェルを150cc用意する予定。水分はソフトフラスク2つで合計1L。季節がらそれほどたくさんは要らないという想定。それ以外は、常備薬として、痙攣防止に芍薬甘草湯、痛み止にロキソニン。地図とコンパス。それに熊鈴、エマージェンシーシート。といったところ。
結局水分については、ペットのお茶500ml(少し飲んでいたので残りは400mlほど)を余分に持って行ったがこれでギリギリといったところ。大峯山寺も途中のお茶屋も季節はずれで全部閉まっていたので全く補給ができず、途中でかなり心細い思いをした。ハイドレーションパックを併用してもう少し余分に持っていくべきだった。
全部をザックに詰めると結構パンパンな感じ。真冬の単独トレランだと12Lでは足りなさそう。パッキングが下手なのかな?
出発
始めは近鉄で吉野駅まで行こうと思っていたが、いろいろあって結局車で行くことにした。6時過ぎに自宅を出発。電車を使うのよりも1時間ほど早い7時半ごろに吉野駅に着いた。ところが、グーグルで検索してあてにしていた駐車場は月極の駐車場で利用できず。他には駐車場が見当たらない。
困った、車で来たことを激しく後悔して、このまま帰ろうかとも思ったが、せっかくここまで来たのだから何とかしようと、うろうろして、結局吉野山の駐車場に止めることになった。駐車料金は¥1000だった(平日は料金はかからないみたい)。なんだかんだで8時を過ぎてしまい、車で来たのに電車で来るのとあまり変わらない時間になってしまった。有人の駐車場だったので、夜に閉められると困ると思って、入り口の係りのおばちゃんに聞いてみたが、いつでも車は出せるということで、安心して出発することにした。
吉野山駐車場は、吉野駅からロープウェイを登ってきたところの駅の少し山を下ったところにある。当初の予定ではロープウェイの下を歩いて登ってきてそこから吉野山に向かっていく予定だった。思いがけず、車で山を登る形になったが、最後は近鉄で吉野駅に戻ってくる予定なので、いずれにしても駅からの登りは通る必要がある。しかも、疲れ切っていることが想定されるので、最後は泣きが入るんじゃないかと思ったりもする。まあ、後のことは後のことでとりあえず出発することにする。朝食のランチパックをほおばり、お茶と痙攣止めの芍薬甘草湯を飲んで、テーピングする。
吉野山まで
洞川温泉発の最終バスに乗るためには、山上ヶ岳まで行こうとするとコースタイムの6割程度のスピードで登る必要がある。とりあえず、初めはロードなのでここである程度タイムを稼いで、少し余裕をもって登山しようという作戦で臨んだ。結局のところこれはあまり良い作戦ではなかった。始めのうちに体力を使ってしまい、最後の登りはほとんど余力が残っていなかった。やっぱりコースタイムの6割でということなら基本的にはそのペースを維持しながら進むべきだったと反省している。
8:20駐車場を出発。始めのうちはお店の立ち並ぶ吉野山の観光地の中を進む。しばらく進んでお店が途切れたあたりで道の分岐に石碑があり、大峯山の文字が現れた。
吉野は桜の名所で山の下から順に下の千本、中の千本、上の千本、奥の千本と続いている。中の千本を過ぎると、舗装路ときどきトレイルといった感じでトレイルが現れるようになる。傾斜は思ったよりもきつく当然のことながらずーっと登りが続くので、ゆったりとしたペースで走っているつもりでも結構きつい。
上の千本を過ぎたところで、大峯山奥駈道の石碑を発見。
奥の千本までくると、人家は全く見当たらず。いよいよ山に来たという感じになる。実は奥の千本まではバスが走っていて、ちょうどバスがやってきて観光客らしき人たちが降りてきていた。ここまで40分走って来たことを思えばバスに乗ってくればかなり楽できそう。
奥の千本を過ぎると本格的なトレイルに入る。天気予報は午前中小雨交じりの曇りということだったが、お天気が良く、景色は最高だった。
スタートから1時間で青根ヶ峰に到着。山上ヶ岳まで行って帰る場合の想定時間はここまで1時間半だったので、予定通り吉野までのロードで30分ほど時間を稼いだ。
青根ヶ峰の山頂はルートから外れているので山頂に寄らずにパスして先を急ぐ。
大天井ヶ岳まで
青根ヶ峰を過ぎると、林道に合流。ここで、林道から再びトレイルに入るところをミスしてしまい、しばらく林道を行って、再度トレイルと合流するところまで林道を進む。この辺りはトレイルと林道が交錯していて気を付けないとミスをしがちだ。
ここで、黒滝村の標識が出てきた。黒滝村に入ったと思ったが、後で地図を見るとこの辺りは川上村と黒滝村の境を奥駈道が通っていることになっている。吉野町は青根ヶ峰のちょっと先までで終わっている。
10:10頃四寸岩山に到着。でっかい岩があるのかと思ったが見当たらない。
青根ヶ峰から四寸岩山までは想定通りのペースで進んだ。
しばらく行くと足摺茶屋跡に到着。ここは、避難小屋として使えるようになっているようだ。
更に行くと二蔵宿小屋に到着。ここでは、管理の人だろうか、巻き割りをされていた。ここで、道は2手に分かれて、巻き道で五番関に向かうルートと、大天井ヶ岳を経て五番関に向かうルート。正式な奥駈道は大天井ヶ岳経由なのだが、ここで道を間違えて巻き道の方に行きそうになる。ヤマップの地図を見て慌てて戻る。GPSがあると間違えにすぐに気づくので便利だ。
大天井ヶ岳への登りは急勾配を一気に登る急登になっていてとてもきつかった。途中で休んでおられるおじさんに声をかけられて、「頂上はこの上ですか?」と聞かれたので「たぶんそうです」と答えたが、大ウソだった。申し訳ない。急登を一気に上がると稜線に出てそこをかなり行ったところが大天井ヶ岳だった。
振り返ると吉野山が見える。遥かにここまで来たのかと思うと少し感慨深い。
大天井ヶ岳も頂上はルートから少し外れているのでパスして先を急ぐ。この区間は想定タイムより20分早く進んだ。
洞辻茶屋まで
大天井ヶ岳から稜線を下ると五番関に到着。ここから先は女人禁制になる。
ここも想定タイムより大幅に縮めて到着。ちょっとコースタイムがおかしいんじゃないかと思うが、早く着く分には全然かまわないので気にしないことにする。
少しお腹が空いたので持ってきたおにぎり3つの内2つをほおばる。ここまでで持ってきたソフトフラスク2本分の内1本半くらいを消費してしまっているので、水が心細くなる。ペットのお茶を持ってきて本当に良かったと思う。
五番関からしばらくは緩やかな傾斜のトレイルが続く。
五番関を過ぎるとすれ違う人が増えてきた。奥の千本からここまでは数人グループのハイカー(何かの下見に来ている感じだった)、2人ずれの地元の人っぽい人(一人は革ジャンを着ていたし、手ぶらだったのですっかり地元の人と思っていたが、話しぶりからするとハイカーのようでもあった??)、大天井ヶ岳の下であったおじさんとその手前で道を譲ってくれたお兄さん(彼は道を譲ってくれたが結構早くて、こっちは走れるところは走っているのにほぼ同じペースでついてきていた)。それに、反対から来られた3-4人連れの人くらいだった。
トレイルランナーにも一人すれ違った。挨拶をしたが完璧に無視された。家の近所でもハイカーの人は挨拶を返してくれるが、トレイルランナーは無視するか、むすっとしてぶっきらぼうに返事するかだいたいどちらか。どうもトレイルランナーがハイカーから嫌われるのはこういうところにも原因があるのかと思う。挨拶されたら返すのが人としての基本だと思うのだけど。人としての基本がなってないのだから嫌われるのも当然か。
緩やかなトレイルもつかの間で、激しいアップダウンを繰り返すところに出てきた。一つピークを越えるだけと思っていたのでここのアップダウンはこたえた。特に最後に鎖が出てきたときはさすがは修行の道と思った。
かなり疲労を感じながらようやく洞辻茶屋に到着。想定タイムより10分はやく着いた。時間は12:40。余裕をもって山上ヶ岳に登るためには遅くとも13:30までについておきたいと思っていたのでいいペースでこれた。
洞辻茶屋はシーズンオフなのかお店は全部閉まっていた。
ここで、最後のおにぎりを食べる。そして、最後の登りに備えてBCAA入りジェルを半分飲んだ。洞辻茶屋ではひょっとして水分補充ができるかと期待したが残念ながらこのまま進むしかない。フラスクの水分はもうほとんど残っていないので、あとはペットのお茶が半分ほど残っているだけだ。
大峯山登頂
洞辻茶屋からしばらく進むと陀羅尼助茶屋があった。ここも当然閉まっている。しかし、山頂が近づくにつれてどんどんにぎやかになってくる。普通はどんどん何もなくなるものだが、さすがは修験者たちの通う道だ。そして道の分岐に出た。
ここは左に進むのが正しいルートのようだ。左のルートを進んでしばらく行くと崖の連続、その先は鎖場とまさに修行の道だ。その途中で、小学生になるかならないか位の子供を連れた親子連れとすれ違った。よくここまで登ってこれたなと感心した。
鐘掛岩まではとにかくきつい急登だった。最後の力を振り絞って登った感じ。
そしてしばらく行くと大きな建物が見えてきた。近づくとこれが宿坊だった。
しかし、よくもこんな険しい山の上にこんなでっかい建物を建てたもんだ。
しばらく行くと西の覗に到着。ここでロープでつるされる業をやるところだ。シーズンオフなので誰もいないが、ここから下をのぞくとほんとにぞっとする。写真も撮る気がしなかった。
そして本堂が近づいてきた。
宿坊も当然全部閉まっている。
そして、山門をくぐると。
ようやく本堂に到着。13:30。洞辻茶屋からはほぼ想定タイム通り。トータルでは約1時間ほど想定タイムより早く着いた。
いやあー、本当に長かったしきつかった。
下山
始めは、稲村ヶ岳山荘から法力峠を回って洞川温泉に降りようと思っていたが、地図を見るとれんげ辻から清浄大橋の方へ一気に下ったほうが早そうだったのでそちらの道をとることにした。(結果的にこれは大失敗だったが)
いずれにしても帰り道はお花畑の方に行くことになる。
頂上に近づくころからかなり雲が多くなって、風も強く寒くなってきた。やっぱり山には厚めの服装がよさそうだ。
下山開始から40分でれんげ辻に到着。ここも女人結界門がある。
ここから、当初設定したルートを外れて、清浄大橋の方に下る。看板の表示は大峯大橋となっていた。
しかし、ここを通ったのは先にも書いたが大失敗。とにかく足場がガレていて、おまけに落ち葉がその上にあるもので足元もわかりにくいうえに斜面が急なので、すべる、すべる。なんどすってんころりといったことか。近いからといって安易なルート選択は命取りになりかねないことを改めて感じた。くれぐれも下調べは慎重にしておくべきだった。
れんげ辻から清浄大橋までのコースタイムは105分。実際には53分かかっている。一見するとかなり早いようだが、ガレた下りを下るのに手間取って、林道に出るまでで約40分かかっているので、この区間が相当に遅いことがわかる。道もわかりづらく、何度か目印を見失った。次はこの道は絶対に通らないだろう。
林道に出たのが14:40頃。最終バスは17:58だが、その前のバスが2時間前にあるので、頑張れば乗れると思って、ここからは走った。もう走る元気がないかと思っていたが、少しは残っていたようだ。それでも、3㎞ほど走ってちょっとした登りになったところで力尽きた。しかし、ここまでくればあと1㎞ほどでバス亭だ。時刻は15時をちょっと回ったところ。ここまでくれば余裕でバスに乗れそうだ。本当は温泉につかってゆったりとしたい気持ちもあったが、早いバスに乗れるならそのほうが良い。何といっても次のバスは2時間後だから。
温泉街で家族への土産を買って、15:15頃にバス停に到着。とにかくのどが渇いたので自販機でスポーツドリンクを買って一気に飲み干す。
バス停に着いたときは待っている人が一人しかいなかったが、やがてハイカーらしき人たちがポツンポツンと集まってきた。もっと空いているかと思ったが結構人がいるものだ。バスは、定期便以外に下市口への直行便が臨時で出るということなので、そちらに乗った。小型のバスだったが満席で出発。あとで奈良交通のHPで調べてもこの臨時バスは乗ってなかった。TV番組じゃないけど、バスの旅は行ってみないとわからないものだ。お陰で予定よりもだいぶ早く下市口に到着。ただ、車を回収するという仕事が残っている。17:04発の吉野行きに乗って17:22到着。すっかり真っ暗になっていたが、駅前の売店はまだやっていたのでここで胡麻豆腐を購入。ロープ―ウェイは17:20に最終が出てしまっているのでやっぱり歩くしかない。幸い道には街頭があるので真っ暗な道を歩かなくて済んだ。山に登るのは自分一人だったが、降りてくる人は結構いた。明日は休みということで、真っ暗になるまで観光してたのかな。坂の登りもバスと電車に乗っている間の休憩で回復したみたいでそれほど苦にならず登れた。18時前にようやく駐車場に到着。長い一日が終わった。駐車場にもまだ結構車が残っていて、ぼちぼちと帰り始めるという感じだった。最終のバスに乗って帰ってきていたらきっと閑散としてたのだろう。
これで、第一回目の大峯山奥駈道は終わった。思ったよりも頑張れたのでちょっと自信がついた。次回は来年の春、どこまで行けるか冬の間にゆっくり検討してみたい。