米国出張

仕事の都合でアメリカに出張してきました。
こういう時期なので、本音を言うと行きたくなかったのですが、仕事なので仕方がありません。
今の時期に海外に行くのにどれくらい手間なのかと、最新のアメリカ事情(といっても見てきた限りの情報になりますが)を書いておきたいと思います。

出発まで

出張が決まった時点では、アメリカへの入国、日本への入国とも、PCR検査(ないし、抗原検査、以下PCR検査と書きます)が必要だったが、アメリカ入国に関しては緩和され、2回以上のワクチン接種が完了していれば6月中旬から不要となった。日本に帰国する時は出国の72時間以内に行ったPCR検査の陰性証明が必要。ちなみに以前はアメリカへは出国の24時間以内に行ったPCR検査の陰性証明が必要で前日に検査を行うか、当日空港で検査するかの選択になる。日本の結果はだいたい3時間くらいかかるので、出発当日となると夕方の便に乗る時しか難しい。おまけに、関空で検査を受けて万が一陽性になった場合、公共交通機関に乗れなくなるので、その場でレンタカーでも借りて帰るしかないという状況に陥る。
それ以外に、コロナ関係では、ワクチン接種証明のコピーが必要。これはチェックインカウンターで見せる必要がある。
また、液体物の持ち込みは厳しく制限されていて、100ml以下の容器に入った液体を合計500mlまでしか認められない。また、容器が100mlを超えるものは中身が100ml以下でも認められない。アレルギーのせいでカフェインの接種を厳しく制限されているので、念のためデカフェのお茶の葉っぱと水筒を持っていくことにしたが、これは手荷物には入れられそうにもないので、預け入れの荷物に入れておいた。持ち込み荷物の液体は、洗濯用の洗剤(100円ショップで買った小袋入りの)、消毒用アルコール(ドラッグストアで小さいやつを購入)、寝ぐせ直し(100円ショップで60mlの容器に買って詰めておいたもの)、それにぜんそく用の吸入薬(オルベスコとメプチン)。メプチンは発作が出た時の緊急用で絶対必要ということはないが、オルベスコのほうは、1日に2回吸入をしているので、機内でも吸入が必要で持ち込む必要がある。しかし、どちらもガスが入っているので持ち込めるかどうか不安だった。ちなみに、燃料用のガス缶は危険物になるので当然持ち込み不可。チェックインの時にカウンターで確かめてみると、吸入薬の持ち込みはOKとのことだったので機内に持って入った。

出発から米国入国

関空からのアメリカ便は現状ではJALのロス行きしかなく、それも毎日は飛んでいない。日程の関係で帰国便は成田着ということになった。関空に行ってみると当日の国際線は乗る便のあと2便しかなく、空港はガラガラ。空港の店舗も大半が閉まっていた。2Fのレストラン街は全部休業。3Fも大半の店が閉まっていて空いているお店は数えるくらい。ちなみにダイソーも閉まっていた。100均で洗剤と寝ぐせ直しの容器を買っておいたのだが、最悪関空にもあるからと思っていたが、まさか閉まっているとは。事前に買っておいて正解だった。
機体はボーイングの787。中型機の分類に入る。最近は747や777などの大型機はあまりはやらないらしい。また、コロナ禍ということもありお客さんも少ないのでこれくらいの機体で十分なのかもしれない。お客さんはだいたい半分よりちょっと少ないくらいといった感じ。自分の座ったあたりは、4人掛けに2人。2人掛けに1人という感じでほぼ半分しか座ってなくて結構ゆったりとしていた。ロスまでのフライト時間は約8時間。西海岸までは結構近いし、行きは偏西風が追い風になるので早く着く。機内ではあまり寝ることができず、ロスからまた移動があるので移動した日は結構つらかった。行きの機内では機内食としてJALが若手のシェフの選手権で上位に入賞した人とコラボして開発したエコノミークラス専用の機内食が出された。昔はJAL機内食はあまりいい印象を持っておらず、大韓航空シンガポール航空にはるかに負けていたが、今回の機内食はなかなか良かった。
日付変更線を超えるので、月曜日の夕方に出発し、月曜日の午後にロスに到着という時間が戻るという変なことになる。最終目的地はダラスなので、ここから国内線に乗り換えてダラスに行く必要がある。アメリカではいったん入国が必要なので、ロスで入国の手続きを行う。ちょうど南米から来たフライトと重なったようで、ラテン語が飛び交う列に並んだ。彼らは当然ノーマスク。かなり並んで到着から約1時間くらいかかった。今回の入国審査では特に何も質問をされなかった。アメリカでは入国の目的、滞在先なんかを色々聞かれるのが普通なのだが、よっぽど英語ができないと思われたのか無言でスタンプを押されてOKだった。
ロスの空港は国際線のターミナルと国内線のターミナルが分かれているので荷物をピックアップして国内線ターミナルに移動する。乗継便はアメリカン航空だったのだが、ターミナル番号がわからない。また、普通は出発便とターミナル番号が書かれた電光掲示板とか、アメリカン航空の乗継カウンターとかあるのだがどちらも見当たらないので、アメリカンが発着しそうなターミナルに行ってみて係に聞いてみたら、ここでよいとのこと。なんとも不親切なことだった。チェックインカウンターまで行って聞けば教えてくれるのだろうけど、国際線で乗継する人のこともちょっとは考えてほしい。
約2時間の乗継でダラスに向かう。もう一度保安検査があるが、アメリカの保安検査は日本よりはるかに厳しい。ポケットの中身を全部出すのは当然だが、上着はNG、靴も脱いで、ベルトも外してX線装置を通る。非常に厳しくて保安検査場が一番混雑している。
しかし、アメリカの空港はほぼ日常の感じで、人はごった返しているし、飛行機もほぼ満席だった。よくわからんかったのは、自分の席に行ってみると中国系のお兄ちゃんが座っていて、自分の席の番号がないのか、よくわからないのか、ここは自分の席だというと、周りにその番号を訪ねているし、周りの人にあんたの座っている席だといわれてようやくどいてくれた。でも、そのお兄ちゃん、ひとつ前の席に座ったが、また、その席のチケットを持っている人が来て別の席に移っていた。ほかにも、自分の席がわからなそうにしている人がいて、CAにその辺の空いている席に適当に座っておけみたいなことを言われていた(英語なので詳しくはわからんかったが)。どうなっているのやら。インド航空でなんか自由席みたいになったことはあったが、アメリカでもそんなことがあるのかな?
インド航空もよくわからんかった。国際線で日本から飛んでいて、インドの最初の寄港地に降りたとたんに、今度はインドの国内線に早変わりして、乗ってくる人は適当に自由席で座っていくという感じで、いかにもインドという感じだった。
ロスからダラスへはまた時差が2時間あって、今度は時間が進むので、午後の便に乗ってついたら3時間のフライトで夜8時くらいと時間の感覚が全くつかめない。
同行した人がレンタカーを借りてダウンタウンに向かう。ダラスは空港からダウンタウンまで比較的近く、だいたい30分くらい。ついた日は7/4でちょうどアメリカの独立記念日。あちこちで花火が上がっていて、お祭り騒ぎ。途中で翌日の朝食を買って、ハンバーガーショップによって夕食をとることにした。ところが、ハンバーガーショップは開いていることは開いているのだが、どこも車の列。独立記念日のお祭りを終わって晩飯を食べて帰るところにぶつかったらしい。また、夜が遅くなるとテイクアウト専門になる店や閉まる店もあって、3軒ほど空振りしてようやく晩御飯にありついたときは11時を過ぎていた。その店も食べているうちにテイクアウト専門になって店内スペースは入り口が閉められてしまっていた。

テキサスのチェーン店Whatabargerで夕食

初日の長い長い移動が終わって、ホテルに着いたのが12時過ぎ。疲れていたのですぐ寝たかったが、翌日からのことを考えると、洗濯をしておきたかったし、日付的には出発した日の夜ということになっているが、時差を考えると実質的には飛行機の中で寝たことになるので、出発日はストレッチも筋トレもやっていないことになるので、もう一日、日課のストレッチと筋トレをさぼるわけにいかないので、頑張ってストレッチと筋トレはをやってから寝ると午前1時になった。それでも時差ボケで4時くらいには目が覚めてしまった。なんとも厄介な時差ボケである。

ダラスにて

ダラスといえば、ケネディ大統領暗殺事件で有名な街。到着翌日は時差ボケと移動の疲れも考慮して午後をオフにしてもらったので、暗殺現場を見に行った。
暗殺現場は観光地になっていて、説明板や、説明員(有料)がいたりする。そして、大統領が撃たれた地点の道路にはバツ印が書いてある。

JFKの暗殺現場。地面にバツ印がある
別の角度から

また、捕まった暗殺犯がいた建物も残されていて、撃った窓にもバツ印が書いてあった。

狙撃犯のいた建物

お土産屋もあったが、定休日なのかコロナの影響か閉まっていた。
暗殺現場を見学した後は、美術館に行ってみた。ダラスは芸術の街ということを街を挙げて推進しているようで、美術館が沢山市内にある。その中でも一番大きい、ダラス美術館に行ってみた。中の見学は無料で、ピカソ、モネ、ゴーギャンなど有名な画家の絵が沢山展示されていた。平日の昼間ということもあって中は大変すいていて、有名な画家の絵がじっくり見れてとても贅沢な時間を過ごすことができた。
ダラスは、日本と同じで今年は熱波で非常に暑く、連日40℃を超える暑さだったが、日本と違い湿度が低いので少しマシに感じた。それでも昼間に直射日光を浴びていると結構しんどい。ダウンタウンはこじんまりしていて、歩いてでも観光できるくらいだが、一日歩いて観光するのはさすがにきついだろうと思った。
また、ダウンタウンには路面電車が走っており、こちらも無料ということで、お金持ちの多い町なんだろうと想像される。南部なので、街には黒人の姿も多くみられたが、ホームレスの人はあまり見かけず(まあ、自分の見た範囲だけなのかもしれないが)、治安もよさそうに感じた。

ダラスの街を走る路面電車

ちなみに、ダラスといえば、NFLカウボーイズ、NHLのスターズのホームタウンでもあるが、ダウンタウンにスタジアムはなく、どこか郊外にあるのだろう。
2日目の夜は、アメリカのファミレスのチェーン店でアップルビーズというところで夕食をとった。お昼が結構がっつり系だったのでおなかがすいてなくて、チキンのサラダを頼んだが、出てきたのがこれ。

アップルビーズで頼んだサラダ

たしかに野菜は乗っているが、鶏肉もたっぷりで、器の下にはご飯が一杯。日本の感覚だとがっつり系のどんぶりというところ。

3日目の午後はPCR検査を受けにクリニックに出掛けた。ダラスにはトヨタアメリカ本社がある関係もあり、日本人の医師がいて、そこに検査をしてもらいに行った。あらかじめ電話で連絡を取り、車で向かった。ダラスといってもかなりの郊外にあり、ダウンタウンから30分くらいのところにあった。つくと、車の中に待機するように指示されて、看護婦さんが検査キットを持ってやってきた。車の中で鼻の中に綿棒を突っ込んで検体を採取し、15分くらい待つと検査結果を持ってきてくれた。もちろん陰性。しかし、日本だと早いところでも3時間くらいかかるのに、なぜアメリカだと15分で結果が出るのか不思議だ。検査については前からいろいろ言われているがまだまだ日本は遅れている。ちなみにアメリカでは薬局で検査キットも売っていて自分で検査することもできる。コロナの検査はアメリカでは妊娠検査薬レベルの手軽さだ。もっとも、日本に入国するためには厚生省が定めたフォーマットの陰性証明に医師のサインが必要なので、自分で検査して済ますことはできないけど。
3日目の夜は、出張先のビルの1Fで先方のスタッフの一人と夕食。日本に駐在経験のある人で、日本語も結構しゃべれる。
まずは、魚と貝の料理とエビのフライ。
それからとんかつ。(日本のとはちょっと違うけど)

とんかつ?

そして、サラダ。こっちはまともなサラダ。

普通のサラダ

4日目の夜は現地での仕事を終えて、先方のスタッフと打ち上げ。市内のレストランで食事をした。テキサスといえば牛肉。ということでボリュームたっぷりのステーキが出された。もっとも、肉の種類としては和牛もあって、宮崎とか熊本とか言っていた。ウェイターのお兄ちゃんがいろいろ説明してくれるのだが、早口でものすごく沢山しゃべるのでほぼ断片的にしか聞き取れない。というか、あんなにしゃべったらネイティブでも最初のうちに何を言っていたか忘れるんじゃないかと思った。ステーキ以外には、カニとロブスター、カキなどの魚介、刺身、寿司などもでた。向こうのスタッフが気を使って和のテイストを取り入れたレストランにしてくれたのかもしれない。最後は巨大なそして、とっても甘いケーキが出て、やっぱりアメリカだなというのを実感した。それにしても、レストランは満席でみんな大声で話しているし、当然日本のように仕切りもなく、全く何も気にしていない風だった。まあ、街でもお店でもマスクをしている人はあまり見かけないのでそれがこちらの標準ということなのだろうが。

ステーキの肉。焼く前に見せてくれる。
寿司と刺身
デザートのケーキ

アメリカ出国、帰国

金曜日の朝にダラスの空港から日本に向かった。帰りは関空行きが飛んでいないので成田経由で帰国の途に就いた。JALだったので現地のスタッフも日本人かと思いきやたどたどしい日本語しかしゃべれないヒスパニック系の人ばかりだった。JALも人件費を節約しないとやっていけないんだなと感じた。日本に帰国するにあたっては、MySOSというアプリとCOCOAというアプリを入れることが推奨されている。実際にはCOCOAについては何も確認されなかった。MySOSは入れて所定の手続きをとるとチェックイン、入国が非常にスムーズに行える。ただ、このアプリ、海外から帰国するように作られているわけではなく、そういう機能もありますよというアプリで、Googleのサイトで見ても、海外から帰国するのに使えるような説明が一切なかったので本当にこれでいいのかと思ってしまった。
インストールすると、パスポートや連絡先などの個人情報を入力し、海外からの帰国に使用するという(ファストトラックというらしい)をクリックすると、3回目のワクチン接種の証明と現地で行ったPCR検査の陰性証明を登録することができる。それ以外には、帰国便と座席番号などを入力する。
証明は写真を撮ってアップロードすると日本の方で担当者が確認をする仕組みになっていて、すべてOKだとアプリの背景が赤から青に変わる。所要時間はアップする時間にもよるが、私の場合はだいたい半日くらいかかった。青になっていると、チェックインではアプリの画面を見せるだけでよい。入国の時はアプリに表示されるバーコードを読み取る必要があるので、バーコードの画面は念のためスクショを撮っておくとよい。
行きの関空からロス行きはガラガラだったが、帰りのダラスから成田行きは満席だった。成田で乗継で別の国に行く人だけを先に降ろしたが、その時に半分くらい降りて行ったので乗り継ぎ客の多少が飛行機の混み具合の差になっていたのではないかと思った。なんせ、関空では夕方には3便しか飛んでなかったので、乗り継ごうにも便がないというのはあるだろう。成田の方は電光掲示板に国際線の表示が一杯表示されていたので(それでも普段よりは少ないのだろうが)、やはりハブとしての機能としては関空よりは成田の方がはるかにあるのだろう。帰りのJALの機内では、行きに出されたシェフが開発した特別食は提供されなかった。よくよく考えると、食材は現地で調達しているし、調理も現地のスタッフで行っているだろうから、すべての出発地で特別な食事を用意するわけにはいかないんだろうと思った。ちょっと残念だったが。
成田には2時半ごろに到着。西海岸からだとフライト時間が比較的短いが、ダラスは緯度的にはアメリカのほぼ真ん中で、しかも南に位置しているので日本までの距離が遠い。帰りは偏西風が向かい風になるのでさらに長く12時間くらいかかる。おまけにアメリカ時間でいうと昼間のフライトになるのであまり寝れないのがつらい。長時間のフライトがしんどいかどうかは寝れるか寝れないかにかかっている。
しかし、今回は時差ボケが完全に直ってない状態で帰ってきたので飛行機の中でも思ったよりも寝れたので割と楽だった。
成田で伊丹行きの便に乗り換えて家に向かう。乗り継ぎ時間が4時間くらいあったので、展望デッキに行って飛行機を眺めたり、夕食を食べたりして時間をつぶした。成田も関空ほどではないが閉まっているお店が多く、レストランは半分くらいしか開いていなかった。伊丹行きも割とすいていて、3人掛けのシートに2人ずつ座るという感じだった。機体はB-737。東京ー大阪間を行き来するにしてはしょぼいし古い。JALの経営状況がうかがえる。まあ、国内線でいうと成田は羽田ほどは需要はないだろうし、入国者数が厳しく制限されている状況なので大きな機体は必要ないのだろうが。伊丹からは、モノレールと阪急を乗り継いで家に帰った。最寄り駅につくと雨が結構降っていて、持って行った折り畳み傘がようやく出番となった。酷暑は過ぎ去っていたようでアメリカに発つ時よりも少し気温は下がっていた。ダラスも暑かったのでかなり涼しく感じた。
しかし、今この状況下で海外に行って帰ってくるのはいろいろと面倒だし、それでなくてもいろいろ気を遣う海外の旅だが、コロナ禍ということでより一層気を使うことが多くて大変だった。また、帰国に当たっては検査も必要なので(これでも以前よりは簡素化されているらしいが)、手間とコスト(今回の検査費用は$200)を考えると、観光で海外に行くのはまだまだ難しい感じがした。お金と時間のある人でどうしても海外に行きたい人が行くのだろう。コロナがいろいろと変えてしまった世界の一端を垣間見た気がした。