北アルプス登山の第三弾。今回は登山をする人なら一度は登ってみたい槍ヶ岳に行ってきました。
私も前々から登ってみたいとは思っていたのですが、おいそれとは行けない山で、山小屋泊(テントという手もあるけど)が必須ということでこれまで行く機会がありませんでした。まあ、60才を過ぎているので行けるうちに行っておこうということで今回槍ヶ岳に登ることにしました。
準備
前回、前々回は長野での仕事に合わせて日帰り登山という形で、焼岳、燕岳に登りました。それでも十分にアルプスは楽しめるのですが、今回は槍ヶ岳ということで本格的な登山になるし、小屋泊とはいえ、荷物も多くなるので仕事のついでではなく、自宅から行くことにしました。
槍ヶ岳はガレ場を登っていく形になるのでヘルメットも必要ということで準備しました。それ以外の装備は持っているもので賄えそうなので新たに準備したものはありません。靴については、ミドルカットにするかローカットにするか最後まで悩んだのですが、道中が長いということもあって、移動時に楽なローカットにしました。結論から言えば、相当のガレ場を歩くことになったのでミドルカットの方が良かったのではないかと思っています。
コースは、まず上高地に入り、初日は明神館で宿泊、翌日から本格的に登山開始し、槍沢を経て槍ヶ岳に登頂、その後稜線を縦走し、南岳で小屋泊、そこから大キレットを通って北穂、奥穂と縦走し上高地に下山する予定を立てていました。
しかしながら、初日のコースが意外に厳しく、いつもならコースタイムの70%で余裕でこなせるところを、今回はコースタイムの70%を超えてしまい、大キレットで時間がかかってしまうと上高地に下山できなくなりそうなので、穂高は諦めてエスケープルートとして考えていたルートを取って南岳から奥穂高温泉に下山しました。自分では無理なコース設定をしたつもりはなかったのですが、アルプスの縦走で長い距離を移動するときは更に余裕を持った計画が必要だと痛感させられました。
移動 ~初日から大波乱~
自宅を出たのは9/5。ところが直前になって台風が発生し、どうやら日本を横断するコースを取るらしいということで、予報では移動日の9/5に直撃という感じだったので無事に移動できるか前の日から天気予報を確かめながら、予備のルートもいろいろ検討していた。
当初は、高山からバスで平湯温泉経由で上高地に入るルートを取る予定でいた。関西からはこの方がどちらかというと行きやすい。高山まではJRで行くことを考えていて、大阪発の特急ひだを使うことを考えていたが、ひだの指定席が満席で予約ができなかった。そこで、岐阜から高山まで高速バスで移動することにした。岐阜までは特急ひだの自由席を使うことにしたが、時刻を色々調べているうちに、新快速で米原まで行ってもそんなに変わらないということに気づいて、特急利用は米原~岐阜間のみにした。岐阜まで行くルートは新幹線を使うことも検討したが、岐阜羽島と岐阜の間は意外に離れていて名鉄で移動しても30分以上かかるということで、名古屋までのぞみで行って戻ってくる方が早いというなんか納得のいかないことになっている。また、万が一のことも考えて松本ルートも検討しておいた。この場合は名古屋まで新幹線で行ってしなのに乗り継ぎというパターンになる。また、雨量が一定量を越えてしまうと上高地に入るゲートが閉鎖されてしまうのでその場合は平湯温泉あたりで停滞という形になってしまう。翌日には台風が過ぎて晴れる予報なので何とかならないこともないが、初日に上高地に入れないと2日目の槍ヶ岳は厳しくなる。
そんなこんなで前日はいろいろ考えてあまり落ち着かない日になった。
移動当日、朝から本降りの雨。台風が近づいてきているので当然と言えば当然か。朝の予報では近畿地方への接近はお昼ごろということだった。どうも台風と追っかけっこしながらの移動になりそう。雨がきついからと言って大きな傘を持っていったら邪魔になるだけなので、小さな折り畳み傘を差して駅まで歩く。ザックが大きいので濡れないようにザックカバーをかけた。まさかこんなところでザックカバーのお世話になるとは思わなかった。
駅に行くと何やらアナウンスが流れている。嫌な予感がして改札に向かうと、列車に遅れの表示が出ている。環状線で人が線路に入ったということで、緊急停止信号が出されたということで全体的に5-10分の遅れが発生している。しかし、何で環状線に人が入ったくらいで東海道線まで止めるのか、どうもJRのやることは理解できない。東海道線から環状線に入るのは一部の特急のみで全列車を止める必要が本当にあるのかはなはだ疑問。まあ、そこで文句を言っても始まらないのでアプリで乗る予定の新快速を見るとそちらも遅れているようなので、とりあえず新快速には乗ることができた。米原から乗る予定のひだを見るとこちらも遅れているようで、今のところは何とか乗り継げそう。最悪京都から新幹線で米原まで行こうかと思ったがそこまでしなくても大丈夫そうだった。怖いのは特急を優先させるために米原までの途中で抜かされることだったが、幸いにも新快速の遅れが4分くらいに収まっていたので、抜かれることなく無事に米原の到着。米原駅で駅の電光掲示板を見ると特急ひだは9分遅れと表示されていた。そこで、米原駅でトイレに行くことにしたが、トイレから戻ってくると既に入線していたので慌てて乗り込む。列車は2両編成で1両が指定、もう1両が自由席という編成。1両だけならすぐに満席になるはずと納得した。自由席もすでに満席で立っていくことになった。まあ、この辺は想定内。ただ、乗ったとたんに、車内で、高山線が大雨のため不通になっていて、この列車も岐阜で運転打ち切りにするというアナウンスが流れた。新快速の車内で岐阜からのる濃飛バスの運行状況を確かめていたが、もう一度確認してみるが、高速バスは今のところ問題なく運航している様子。まあこの分なら悪くても速度規制で到着が遅れるくらいかなと予想した。それにしても、満席で予約できなかったとはいえ、JRで高山まで移動しなくてよかった。
岐阜駅には約10分遅れで到着。それでもバスの出発時間までは約20分あるので時間的には問題ない。バスは名鉄岐阜駅前から出るので名鉄の駅まで移動。徒歩約10分となっていたが5分ほどで到着。バス停は何の変哲もない路線バスのバス停と一緒になっていて、大きなバスターミナルがあると思っていたが想像と全く違っていた。座って待つところもないので、バス停の前で立って待つことになった。待っていると同じようなリュックを背負った中年のおばさまたちがやってきて、バスのチケットを買っていた。どうやらJRで高山まで行く予定だったらしい。ただ、JRからの乗り換え客は他にはいなさそうで、バスはガラガラで出発。まあ、こんな台風の日にしかも平日に出掛けようという人はあまりいないか。
バスは無事に予定通り高山に到着。ここから平湯温泉へのバスは予定通りなら6分後に出発するのだが、トイレも行きたいしおなかも空いたので、もう1本後のバスに乗ることにして高山でお昼ご飯を食べることにした。バスの乗継は遅れることを想定しておかないと痛い目に合うので元々もう1本後のバスの乗る予定にしていた。駅から歩いて少し行ったところにあるお蕎麦屋さんで蕎麦をいただいた。高山は中学の修学旅行で来たところで、駅前のお蕎麦屋さんに入ってそばを注文したらなかなか出てこなくて、集合時間に遅れそうになって慌てて食べた思い出がある。そのお蕎麦屋さんがどこかもうわからないし今でもやっているかどうかもわからないが、今回のお店は割とすぐに出てきた。まあ、時間はたっぷりあるので時間がかかっても構わないのだけども。お店の人は親切な人で、大きなリュックを持って入るとリュックはここにおいてね。とか、登山ですか? とか聞いてくれて、気を付けていってくださいと言ってくれた。高山も近年はインバウンドの外国人がわんさかいる観光地で、大勢の観光客でにぎわっている。そういう観光地でここまでの接客を受けるのはちょっと意外な感じがして気持ちよかった。
食事を済ませてバスターミナルに戻ると、上高地や奥穂高温泉付近、乗鞍のライブカメラの映像がスクリーンに出ていた。それを見ると、上高地は雨は降っていなさそう、乗鞍はガスがかかっていて何も見えない。奥穂高は時々ガスかかかるという感じだった。今のところ上高地に行くのは問題がなさそう。油断は禁物だが。
奥穂高温泉行きのバスに乗って平湯温泉で下車。ここにも立派なターミナルがあって、ここで上高地行きに乗り換える。上高地行きはマイカーで来た人が止めるあかんなだの駐車場からやってくるが、このバスもガラガラ、やっぱりお天気のせいかな。バスは無事に上高地に到着。ただ、上高地には人が大勢いた。河童橋のうえなんか人だらけで今までガラガラのバスに乗って来たのにこんなに人が居るのという感じ。幸いに雨はやんでいたので、明神館を目指して歩いていく。
明神館まではコースタイムで1時間ほど。だいたい40分で到着。
明神館は、普通の旅館と山小屋の中間のような宿だった。部屋は山小屋風のたこ部屋チックな相部屋と普通の和室がある。部屋でストレッチがしたかったのでちょっと贅沢だが和室の方を予約しておいた。どうせ、翌日は山小屋でたこ部屋に泊まるのだから。部屋は6畳の和室で、トイレも洗面もなく、まあ、部屋に関しては山小屋チック。夜は9時半に消灯し、部屋のコンセントも使えなくなるとのこと。この辺も山小屋風。ただ、お風呂は大風呂があるし、食事も豪華な和食が出てきて、この辺は旅館に近い感じだった。翌朝は6時に出る予定なので、朝食の代わりにお弁当をお願いしておいた。この辺の融通の利くところは普通の旅館とは違うところかもしれない。
2日目 槍ヶ岳を経て南岳まで ~予想外の苦戦~
翌朝、昨日もらった朝食のお弁当を食べる。おにぎりが2個に、おかずが少し。まあ予想通りの内容。おにぎり1個は途中で食べることにしてそれ以外を食べる。
ストレッチやテーピングをして準備をしてから予定通り6時出発。天気は上々で絶好の登山日和。気になるのは前日の雨で川が増水していることくらい。
明神岳が朝焼けに輝いている。

まずは梓川沿いに整備された道を歩く。左手に明神岳が良く見えている。

40分ほどで徳澤園に到着。
進んでいくと明神岳の見え方が変わってくる。

歩いていると後ろから走ってくる人に抜かれた。トレイルランナーのよう。こんなところでトレランする人が居るのかと思った。どこまで行くのかな。まあ、TJARに出るのならアルプス縦走を走らないといけないのでそれくらいの人なのかもしれない。
更に進むと横尾山荘に到着。ここは、涸沢と槍ヶ岳への道の分岐点。

ここでチェックポイントがあった。最近、無謀な登山をして遭難する人が多いため、装備などのチェックをしているとのこと。登山でこんなチェックをされたのは始めて。まるでトレランの大会のよう。まあ、かばんを開けていちいち荷物のチェックはされなかったが。ご苦労様な話です。遭難したら余計に手間がかかるのでこういうチェックをせざるを得ないのでしょうけど、富士山でもチェックがあるというニュースを見たし、登山する側もマナーと節度が必要だとは思いますね。
さっきのトレイルランナーさんは通してもらえたのかな?
横尾山荘まではコースタイムの70%で一応予定通り。いつもは、もう少しタイムを稼げるのだけど、ほぼ平坦だし、歩いたらこんなものかもしれない。
横尾山荘を過ぎると本格的なトレイルになる。しばらく行くと、槍見河原という木の間からチラッと槍の穂先が見えるところに出た。ただ、本当に木の間から散ら見えするだけなので写真は撮らず。この後、ずっと近づくまで槍ヶ岳は見えない。
しばらくすると一の俣、二の俣という枝沢を渡る。

しばらく行くと槍沢ロッジに到着。8:30でここも予定通り。
槍沢ロッジからしばらく行くと、ババ平のキャンプ場に到着。ここで水を補給。今回は、水はフラスク2本で1L。そしてペットのお茶を500mlにしている。途中途中で補給ができそうなのであまり多めには持って行かないことにした。燕岳の時は1.5Lで往復十分に足りたし。まあ、あの時は合戦小屋でスイカ食べたので実質は1.5L以上は水分を取ったとは思うけど。今回は少し水分の消費が早い気がする。台風一過で空気が乾燥しているのかもしれない。
ここで、朝食のお弁当の残りおにぎり1個を食べる。

ババ平には売店があって、飲み物、軽食が買えるということだったが、営業時間外なのかやっていなかった。
ババ平を過ぎると徐々に傾斜がきつくなってくる。
大曲には9:15頃到着。ここでようやく予定時間より5分ほど縮めることができた。ここは、水沢乗越という東鎌尾根上の場所に行く道との分岐。東鎌尾根は厳しいルートなのでこのまま沢の中を進む。
更に進むと天狗原との分岐に出る。天狗原は天狗池があって、池の水面に槍ヶ岳が映る逆さ槍が見えるところで、写真家の間では有名な場所。
ここから更に傾斜がきつくなる。このあたりでkmあたりのラップが30分を越えるようになった。
樹林帯を抜けて木はハイマツだけになって来た。

少し上ると、最後の水場に出た。ここでも水を補給。
ここまで来てようやく槍ヶ岳が見える。

振り返るとここまで登ってきた道が見え、遠くに笠ヶ岳が見える。

更に上るとヒュッテ大槍への分岐に出る。ヒュッテ大槍はランチがおいしいらしいが、東鎌尾根上にあるし、先を急ぐのでコースタイムの短い沢沿いのルートを行く。ここでようやく貯金が15分できた。やはり平地では走ることでもしない限り70%切りは難しい。登りに入ってようやくコースタイムの70%を切れるようになった。
遠くに富士山が見える。見える日もあると聞いていたが、台風一過で空気が澄んでいて遠くまで良く見えるみたいだ。これはご褒美。

更に上ると殺生ヒュッテの下に出る。

槍ヶ岳は人気の山だけあって、このあたりだけで、槍ヶ岳山荘、殺生ヒュッテ、ヒュッテ大槍と3つも山小屋がある。
ここでようやく貯金が30分になり、お昼を食べるだけの貯金ができた。
最後の一登りを登ってようやく槍ヶ岳山荘に到着。殺生ヒュッテが小さく見える。

先に槍ヶ岳の山頂に行こうと思っていたが、お腹が空いていたので、先に槍ヶ岳山荘でお昼を食べる。槍ヶ岳山荘は大きな山小屋で槍ヶ岳の人気を象徴している。
ここではカレーライスを食べた。出てきたときには気づかなかったが、ご飯が山の形に盛られていて槍ヶ岳をイメージしているのだと思った。食べてしまった後なので写真を撮ることができずに残念。槍ヶ岳山荘では2時からスイーツの販売もあるとのことで、なんともすごい山小屋。
小屋にザックをデポして、槍ヶ岳に登る。
北鎌尾根から続く山稜も綺麗に見える。

槍の穂先は今までと違ってとんでもなく厳しい登り。

くさり、はしごの連続でスリル満点。
12時10分に山頂に到着。


降りる時は更にスリル満点でそーっと足元に注意しながら降りる。幸い登りと下りのルートが分かれているので譲り合いというのはないのでまだましだが。ところが団体さんが何を思ったか下りルートから登ってくる。待つのもばからしいので指摘して、正しいルートに行ってもらった。ペイントに矢印が書いてあるから見れば分かりそうなものなのに。
槍ヶ岳山荘に戻ってきたのが12:40頃。ここで水を500ml購入する。水場がなく雨水をためて使っているので有料で¥100。槍ヶ岳の往復は山と高原地図のコースタイムでは登りも下りも30分。ところがヤマレコのらくルートでコースタイムを70%で計算させると何を思ったか登りが20分で、下りは10分という結果になっていた。どう考えてもあの下りは10分では無理だろうと思う。登りは20分で登ったが、下りは30分近くかかっている。ここで貯金を吐き出して予定タイムより遅れることになった。そして、この後のコースタイムとの闘いが続く苦しい縦走が待っていた。
槍ヶ岳山荘を出たのが12時40分頃。予定よりも10分遅れ。次に向かうのが大喰岳。森林限界を超えているので荒涼とした尾根道が続く。

大喰岳に登る途中で振り返ると槍ヶ岳が良く見える。

大喰岳到着は13時頃。ガレた稜線歩きで思うように進めず、遅れは10分のまま取り戻せず。
大喰岳からは穂高連峰が見えた。



大喰岳の次は中岳に登る。このあたりもガレ場が多く、思うように進めない。中岳到着は13:30で遅れが20分に増えた。



中岳から最後の南岳に向かう。

しばらく行くと天狗原へ向かう分岐に出る。ここから天狗原に出て槍沢方面に降りることができる。

14:30にようやく南岳に到着。遅れは40分に広がっていた。ここの稜線歩きではガレ場に苦戦してコースタイムの70%どころか、90%以上かかってしまっている。
大いに想定外であった。

この時点で翌日の穂高連峰の縦走は断念するという決断をせざるを得なかった。実は昨晩山と高原地図のコースタイムとヤマレコ(らくルート)から計算した予定時間のコースタイムの比較を行っていて、南岳からキレットを通って、奥穂高岳までの最も厳しい区間は何故からくルートの70%が山と高原地図の通常のコースタイムとほぼ同じ。その代わり、奥穂高岳から上高地までのタイムは山と高原地図のコースタイムの約50%と最後の部分で帳尻合わせをしたようなタイムになっていた。この区間も吊尾根などの厳しいところがあるので、どう考えても50%は無理だと思われる。つまり上高地到着は相当に遅れる公算が高いということになる。この日も40分の遅れを出してしまったので、1時間程度の遅れは見込んでおかないとキレットは越えられないということになる。ところがキレットは槍の穂先のような一方通行になっていないので反対から人が来た場合は待ち時間が出てさらに遅れることになる。そんなこんなを考えると南岳から穂高連峰を縦走して一気に上高地に出るのはかなり無謀な計画に思えてきて、今回は槍ヶ岳を登っただけで満足して帰るのが賢明だと判断した。奥穂高岳は涸沢から登ることもできるし、後日、有名な涸沢をゆっくり堪能してから奥穂に行くのも良いかなとも思った。
南岳小屋はこじんまりとして小屋でさすがにここに来る人は少ないのかなという感じがした。小屋はまあ、普通の小屋で、寝床はよくあるかいこ棚形式。まあ悪くないのだが、小屋番のひとの不愛想なのが気に入らない。まあ、ホテルや旅館と違うというのは重々承知しているが、それにしてもこっちは金を払っている客なのだからまるで旧国鉄の職員みたいな感じで泊めてやっているんだと言わんばかりの態度はいかがなものかと思った。今回の旅で唯一残念だったのは山小屋の小屋番の人だった。
部屋では兵庫からソロで来たという男性の方と隣になって少し話をした。前回もここにきて、悪天候で大キレットを断念して再チャレンジで来たのだとか。すごくいい人でできればご一緒したかったが、下山までの時間を考えると無理をしない方が賢明と思って予定通り穂高温泉の方に降りることにした。
その他は団体で来ている人が結構いてツアーで来ている人もいるみたいだった。
小屋から笠ヶ岳方面に沈む夕日がきれいに見えた。この景色だけでも来た甲斐がある。

3日目 下山~帰宅 やっぱりガレ場が続く
3日目の朝、小屋の外は強風が吹いていた。夜寝ているときもゴーゴーと音がしていて風の音なのかなと思っていたがどうもそうだったらしい。尾根上にあるので風が強い日もあっても不思議はない。寒いことはある程度予想していたので、とにかく着込んで出発するしかない。一応、冬のトレラン用のズボンと下に履くタイツ、メリノウールの長袖に、通常の長袖シャツ、フリースにトレラン用の長袖アウターと持ってきたので全部着込むことにした。手袋も念のため持って来ていたがつけないと寒そうだ。
朝食は5時頃に食べた。半分弁当みたいな朝食で、ご飯とおかずが弁当箱に入っていて、それ以外に味噌汁がついていた。お弁当も一応暖めてあって、味噌汁もあって暖かいご飯が食べれるのはありがたい。アルプスの山小屋に泊まるのは初めてだが、昔泊まった山小屋では、普通に食器で食事が出てきていたのでそんなもんかと思っていたが、ここは水場がないので洗い物を極力減らすようにしているのかもしれない。
身支度をして外に出ると案の定、めちゃめちゃ寒い。温度計を見ると7℃。風が強いので体感温度はさらに低い。真冬なみだ。

これから下山するのは、西尾根を通る南岳新道と呼ばれる道。この道も結構急らしい。まあ、大キレット通るよりもましだろう。第一コースタイムは標準で6時間ちょっとなので、朝6時に出るとお昼には下山できる計算。途中でコースを変更したので昨日の夕方にヤマレコアプリで新しいコースを入力しておいた。ヤマレコアプリについてはまた後日使い勝手を書くつもりだが、今使っているOPPOの端末とは相性が抜群に悪く全く使い物にならない。便利な機能もいっぱいあるだけに残念。
小屋の付近はガスがかかっていて、視界がかなり悪い。

この寒さとこのガスで大キレットはかなり大変そう。同じ小屋に泊まっていた人の半数近くはキレットに行きそうな雰囲気だったが大丈夫なのかと思った。ツアーで来ている人たちはハーネスを準備している人もいたし、ガイドさんが居れば問題なのかもしれないが。
西尾根も見たところかなり切り立った尾根で最初は割と緩やかな稜線下りだったが途中で桟道やくさり、はしごなどが出てきてまあまあの厳しいルートだった。
しばらく降りるとガスも晴れて、風も弱まり、景色は相変わらず最高だった。

ずっと稜線続きかと思ったら途中でガレた沢を渡るところがあった。

どうもガレ場は苦手だ。沢を渡るのは一番険しい尾根を避けるためのようで、しばらく行くとまた元の尾根に戻った。

南岳新道は、新道とはいうものの、行く人が少ないのかあまり整備されてなくて、写真のように木の桟道が朽ちているところが何か所もあってそれが怖かった。
そして、行っても行ってもガレた道の連続。

悪戦苦闘して2時間ほど下ったところで南沢を渡る。ここは増水時には渡れないということだったが、この日は全く水がなかった。

2時間20分ほどで槍平小屋に到着。一応山と高原地図のコースタイムでは3:15ということになっているので70%を少し超えたくらいのタイムでガレ場にしてはまあまあ。ただ、この区間で2人ほど抜かれた。2人とも若いお兄さんでめちゃめちゃ早かった。この後も何人かに抜かれたが、ガレ場をあんなに高速で下っていくのはどうやったらできるのか不思議なくらい。なんかコツがあるのかな。
槍平小屋では水を補給。
ここからは沢沿いを下っていくのだが、行きに登った槍沢と違って相変わらずのガレ場の道でとっても歩きにくい。
30分ほどで滝谷に到着。左手に大きな滝が見える。

この先も、チビ谷とかブドウ谷など同じような沢を何度か渡りながら大きな沢沿いを下る。
白出沢を過ぎたところで道がようやく林道になって少し歩きやすくなった。しばらく行くと穂高平小屋に到着。ここではぜんざいを売っていてちょっと惹かれたがもうすぐお昼時も近いし穂高温泉についてお昼を食べる予定だったのでやめておいた。
しばらく行くと林道のゲートがあって、ゲートをくぐると新穂高温泉のエリアに入る。

新穂高温泉からは西穂高方面にロープウェイが出ていて、西穂の近くまでは結構気軽に行くことができる。

新穂高温泉では前回焼岳に登った時に入った、ひがくの湯と登山者食堂があるが、ロープウェイの駅からちょっと遠いので今回は、中崎山荘のお風呂に入ることにした。ここも食堂があって食事をすることができる。登山者御用達の温泉らしく、入り口にザックを置くスペースがあって、そこにザックを置いて中に入る仕組みになっている。温泉は硫黄泉らしく、湯の花が湯舟に浮かんでいるお風呂で露天風呂もあっていい湯だった。ただ、食堂はメニューが少なくちょっと残念。ぜんざいを食べておけばよかった。結局ご飯が食べたかったので朴葉焼き定食というのを頼んだ。飛騨地方の名物朴葉味噌を焼いてご飯の上にのせて食べるのだが、おかずが朴葉味噌と漬物くらいしかないのでちょっと物足りなかった。登山者食堂は困るくらいメニューがあって豊富だったのでちょっと歩いてもその方が良かったかなとも思った。お風呂から上がって、ご飯を食べて、まだバスの時間までだいぶあるので、ロープウェイの駅に行って何か食べることにした。スイーツ系があるかもと思って期待して行ったが、ラーメンとかしかないので、飛騨牛コロッケとココアを頼んで少し時間をつぶした。ここにはモンベルショップもあって簡単な登山道具なら入手可能。
まあ、とりあえずお腹を満たしたので、バス停の方に向かう。出発時間までまだしばらくあったが、バスがもう来ていて、乗ることができた。バスは新穂高温泉が始発で高山駅まで行く。お客は日曜日ということもあってまあまあ乗っていたが、平湯温泉でほとんどおりていった。これから上高地に向かうのではないと思うので、あかんなだの駐車場にでも行くのだろうか? 平湯温泉では上高地からの乗継のお客さんが乗ってきてまあまあいっぱいになった。
高山に着いたのは14時過ぎ。実は、温泉を出た後、15時台の特急ひだを予約していたのだが、もう一本早いのに乗れそうだった。15時台のひだは大阪行きを併設しているのでそのまま京都まで行けるのだが、14時台のは名古屋行きなので岐阜で乗換になる。それでも1時間くらい早く着くので、変更しようと思ったが、どうもうまく変更の操作ができない。JRの予約サイトは本当に使いづらい。最初の予約の時も、自宅の最寄りの摂津富田までで検索すると京都から新快速の指定席を取らされるように仕向けられる。そんなところの指定は要らないのに、外すという操作ができない。仕方がないので京都までで検索をし直して、一旦特急券だけ予約して、乗車券は別に予約した。まったく、不便なサイトを放置しておいてどんどん駅員を減らすというのはいかがなものかと思うが。
とにかく、14時台の列車に乗れないので、諦めて、お土産を買いに行くことにした。飛騨地方のお土産でこの時期にしか買えない栗きんとんというお菓子があって、駅の売店や駅の近くのお土産屋さんを覗いてみたが売っていない。行きの平湯温泉のバスターミナルにはあったので、本当は帰りに買って帰ろうと思っていたが、予定を変更して新穂高温泉から高山まで直行でバスに乗ったので買えなかった。高山でも売っているだろうと思って、検索したら、駅から4分ほどのところに和菓子屋さんがあるのでそこに行ってみた。恵那川上屋というお店で思った通りにここには売っていた。列車を1本遅いのにしたおかげで買うことができたのでまあまあ良かったのかと思った。
それにしても今回は思いの外時間がかかってしまい、予定したルートをこなすことができなかった。まあ、初日のコースを見ると22㎞も歩いている。いくら平地の部分が結構あるからと言って、20㎞を超えるのはさすがに慎重に考えるべきだったと思っている。明神館を出発するのなら、初日に槍ヶ岳まで行って槍ヶ岳山荘に宿泊、2日目に縦走して北穂ないし、奥穂、または涸沢に宿泊、3日目に下山というのが妥当なのではと思った。計画の組み方を大いに反省するべきと思っている。今回の教訓。
- コースタイムと自分のタイムは、コースの状況によって変わるということをちゃんと認識すべき。とくに急なくだりやガレ場では速度が落ちることを予め予測しておく。
- 自分のタイムだけでなく、別の人のタイムも参考にして計画を検討すべき。
- 20㎞を超えるようなロングルートはなるべく避ける。どうしてもという場合はルートを慎重に検討する。