前回までで疑似電波時計のハード、ソフトのあらましは完成したので、いよいよ本番の制作に入ります。
alasixosaka.hatenablog.com
今回はセグメントLCDをディスプレイに使用するので配線数が多く、ユニバーサル基板では半田付け作業が大変になるので基板を起こして業者に発注することにしました。最近は格安で基板を製作してくれるところがいくつかあるので結構お手軽に頼めるようになりました。昔は、銅を一面に張り付けた基板にマジックなどでマスキングをして、塩化第二鉄でエッチングしてととても作業が大変だったのでユニバーサル基板の方がはるかにお手軽だったのですが、今は逆に複雑な回路は業者に発注してしまった方がはるかに楽です。しかも値段もそれほど高くない。
今回は、自分で回路図を書いて業者に発注するまでのお話です。ただ、細かい手順などは参考サイトを見ていただくとして、ここでは大まかな流れだけを書いておきます。
回路図とプリントパターンの作成
これをやらないと業者にも発注ができません。今回はKiCADというフリーソフトを使いました。プロ用にはEAGLEというCADが有名ですが、個人で趣味程度の基板制作であればKiCADで十分問題ありません。
KiCADの最新版はVer6です。公式サイトからダウンロードしてインストールします。
www.kicad.org
KiCADの使い方はこちらのサイトを参考にしました。
www.jh4vaj.com
ただ、このサイトはある程度KiCADの操作に慣れている人向けに書かれているので、もっと詳しくは、古いバージョンになりますが、こちらのサイトが参考になります。
spiceman.jp
こちらのサイトでは、KiCADの基本的な使い方から基板発注のやり方まで詳しく書かれています。私も非常に参考になりました。
今回作成した回路図はこちらになります。
今までFrizingで書いていたブレッドボード上の回路と大きく変わっていません。ポイントは、TWELITEとのシリアル通信用のポートをRB6、RB7とし、PICのプログラミング用端子と兼用にしたことです。これは、セグメント液晶の駆動用にほとんどのポートを使ってしまい空きポートがないためにこうしました。基本的にはあらかじめプログラムしたPICを基板に差し込む予定なのでプログラム用の端子は必要ないと思われるのですが、プログラムにバグがあったりしたときに簡単に修正できるようにオンサーキットでプログラムできるように配線をしておきました。プログラミング時と通常使用時の変更はジャンパーピンで行うことにしています。また、TWELITEのリセット端子にスイッチを付けてリセットできるようにしました。こちらも、念のためという感じですが、TWELITEは基本電源ONでリセットがかかるのですが、ブレッドボードで試したところタイミングの問題かTWELITEを強制的にリセットしてやらないとスタートしないことが何度かあったのでリセットスイッチを付けています。また、PIC側にも同様にリセットスイッチを付けました。PICのリセットは、MCLR端子をGNDに落とすことで行います。
基板サイズを決めてプリントパターンを作成する
回路図ができたら、回路図からプリントパターンを作成します。ただし、その前にプリント基板のサイズを決める必要があります。
今回は、Takachiのケースを使うことにして、ケースに合うサイズにプリント基板を作成することにしました。別に普通のプラケースに自分で穴をあけてやってもいいのですが、今回選んだTakachiのケースは電池ボックスが内蔵されているので電池駆動には何かと便利です。また、基板取付用のボスがあらかじめついていますのでこれを利用するために基板サイズを決定しました。使用するケースは、LC145H-M2というケースで、シリコンカバー付きのプラスチックケースです。基板サイズは86×77.5mmとなります。
https://www.takachi-el.co.jp/products/LCS
ちょっと手狭ですが、なんとか全部の部品を配置することができました。
部品を配置したら、配線をする必要があります。KiCADには自動配線機能がありませんので、自分で配線するか、他のソフトで自動配線をするかのどちらかになります。今回は配線が多いので、Freeroutingというフリーソフトを使いました。使い方は、先の参考サイトに出ています。
spiceman.jp
ここでやらかしてしまったことに気づきました。実は、液晶ディスプレイは他の部品と反対の面に実装する予定だったのですが、回路図を書いたときはそのことをすっかり忘れてしまって、同じ面に実装したときに配線しやすいように書いてしまっていました。裏面に実装するので考えていたのとピン配置が裏返ってしまうのでせっかく綺麗に配線できるように回路図を書いたにもかかわらず汚い配線になってしまいました。回路図を引き直すことも考えたのですが、液晶に数字を表示させる配列を全部変更してしまう必要があるので面倒なのでそのまま作ってしまうことにしました。なので、液晶の周りの配線はちょっとみっともないことになっています。プリントパターンはこんな感じになりました。見やすいようにベタ塗りの部分は塗りつぶさずに表示しています。
ガーバーファイルを作成して業者に発注する
パターンができたらあとはガーバーファイルとドリルファイルを作成して発注します。PCBWAYへの発注はこちらのサイトを参考にしました。
tmegane.hatenablog.com
参考サイトにも書いてありますが、PCBWAYに発注するときは、「拡張X2属性を含む」というところのチェックを外しておく必要があります。それさえ注意しておけばあまり問題はないかと思います。
基板発注に関してはこちらのサイトも参考にしました。
xn--p8jqu4215bemxd.com
こちらのサイトでPCBWAYが一番のおすすめということでしたので今回はPCBWAYに頼みました。初回ということで$5オフのクーポンが使えたので基板制作料は実質的にタダになりました。あとは送料ですが、配送業者を色々選択できるようになっています。デフォルトはDHLとなっていますが$19とお高いので、もう少し安いところに頼みました。$10くらいです。もっと安いところもあったのですが、コメント欄にトラブルが生じることもあるとか書いてあってちょっと心配になったので時間はかかるけど比較的信頼できそうなところにしました。DHLとかだとすぐに着くみたいです。急ぐときにはいいかもしれません。
状況を確認すると1/4に発注したのですが、1/8の時点でもう出荷されていました。とりあえず春節前に基板の製造は終わったようです。あとは到着を待つのみです。