大峯山

大峯山と聞くと何か神秘的な響きを感じる。自分は奈良出身なので勿論子供の頃から知ってはいる。女人禁制の山だとか、修験者の山だとか。しかし、まだ行ったことは無い。そういった重々しい感じや、中学生のとき同級生から聞いた、崖の上から縄で吊るされて落とされそうになるといった話などが自分の心をこの山から遠ざけていた様な気がする。

大峯山は奈良の吉野山の奥にある。子供の頃は吉野と言えば桜の名所で桜を見に行ったくらいの記憶しかない。

また、中学校は奈良盆地のはずれの高台にあり、晴れた日には吉野の山々が遠くに見えた。特に印象に残っているのは、嵐の様な雨の後、空気が洗われて、普段は見えない吉野山の奥の方まで綺麗に見えてとても感動したことを覚えている。だが、中学生の三年間であんなに綺麗に見えたのは一度だけだった。また見たいと思っていたがその思いはかなわなかった。

その後、吉野に対する思いが少し変わったのは、子供ができて、子供とキャンプに吉野の黒滝に行ったあたりからだと思う。また、自転車でグランフォンド吉野を走ったりもした。グランフォンド吉野は頭に山岳という文字がつけられる様にこれでもかというくらい登らされる厳しいコースが組まれている。何せ、Googleマップに載って無いような道を走らされるのだから。

吉野に対するイメージが変わっても大峯山には登ろうという思いは湧いてこなかった。やはり、子供の頃の近づき難いイメージのせいだろうか? しかし、今年になってトレランを始めて、トレランなどの、いろいろな人のブログを読むうちに、大峯山に奥駆道というトレイルがあるというのを知った。距離は100kmほど、しかし、果てしなくアップダウンを繰り返す鬼の様なコース。普通の縦走なら5泊6が標準。途中、食事のできる小屋は二ヶ所しかなく、後は食料も持参になるし、そうなると寝袋も必須装備だし、テントもあった方がいい、てなると普通の登山だし、第一そんなに長い休みは取れない。ならばやっぱりトレランで走るか? トレランの猛者は昼夜兼行で走り、丸1日くらいで走り切る人もいるらしい。

行って見たくなった。しかし、今の自分の走力では全部一気に走破するのはとても無理だ。ならば、何回かに分けて行くしかない。

とりあえず地図を買ってみた。情報はネットでも取れるが、細かいところはやはり印刷した地図が優る。

 

山上ヶ岳 (山と高原地図)
 

 

改めて見ると本当に山深い。分割するのも大変だ。一回に何㎞走るか?

自分の走力と相談しないといけない。まずは北から攻めて、大峯山の中心、山上ヶ岳の手前まで小手調べして見て、その時のタイムとコースタイムを比較して、その後の計画を立てるのが良いかも知れない。

まずは、一回目のコースを考える。近鉄吉野の駅から吉野山までローブウェイがある。しかし、始発の時間を調べると桜の季節以外は9時代までなく、ロングトレイルのスタートには少し遅いのでローブウェイ案は却下。阿倍野橋から始発の特急に乗ると吉野着は8時20分。吉野駅を出発し、山上ヶ岳の手前の五番関から奥駆道をそれて洞川温泉に降りるとだいたい20km。これくらいなら何とかなりそうだ。洞川温泉発の下市口行きバスの最終は6時ちょっと前。休憩込みの行動可能時間は8時間半程。登山地図でコースタイムを調べると10時間以上ある。20kmで10時間とは、本当に厳しいんだな、まあ、でも何とかなるだろう。京北町のトレランのときは18kmを3時間10分くらいで走っているし、登りはもっときつそうだけど時間は倍以上かかっても大丈夫だし。

もう少し欲を出して、もっと奥まで行くことも考えたが、洞川温泉より南は帰りのアプローチが長くなるので、コースを組みにくい。それに、あまり始めから欲張らないでこれくらいにしておくのがいいだろう。

ということでだいたいのコースは決まった。あとはいつ決行するか? 10月はすでに予定が二つ入っているので11月の連休のどちらかにしようと思う。